16万件のクリニック情報を集約。「ドクターズ・ファイル」で急成長
クリニック専用の情報共有アプリを開発
ギミックは「開業医白書」を毎年、継続的に発表していく方針だという。こうした大規模な調査が継続的に行われることで、「時代ごとの医師の意識や労働環境の変化」も露わになってくるだろう。 そんな同社が今、もうひとつの事業の柱として育てようとしているのが「メディパシー」というサービスだ。「ドクターズ・ファイル」は、医師と患者の理解とコミュニケーションを促進するための手段だが、「メディパシー」はクリニック「内」のコミュニケーションを潤滑にするためのITサービスだ。 「メディパシー」は一言で表すと、クリニック専用の情報共有アプリだ。医師同士、あるいは看護師とのチャットや掲示板の機能、タスク管理機能を持っている。 クリニックでは、いまだにほとんどが「アナログで」行われている。情報伝達のために医師の机に大量の付箋が貼られているというのは、クリニックでは見慣れた光景だ。口頭で情報を伝えるにしても、多忙な環境のなかでは伝達漏れが起こる懸念に常につきまとわれている。 ITツールを導入するにしても、「患者の健康状態」という極めて秘匿性の高い情報を取り扱うだけに、クリニックが「一般的なSNS」を情報共有手段として用いるにはあまりに不安が大きい。「メディパシー」はセキュリティには万全の体制を敷くことで、こうしたクリニックの不安払しょくに応えようとしている。「誰もが知る世界的なIT企業」との協業準備も水面下で行われているという。 「高齢化の進展によって『地域の最も身近な医療機関』であるクリニックが果たすべき役割は、ますます大きくなっています。実際、政府も地域医療におけるクリニックが果たすべき責任を、これまで以上に求める施策を打ち出しています。『ドクターズ・ファイル』や『開業医白書』といった取り組みによって、身近だけれど、じつは知られていないクリニックの世界に光を当て、患者との相互理解を促していきたいです」(横嶋社長)
下矢一良