「お茶」のカフェチェーンで勝負するゴンチャ…デジタル化社会であえて「アナログなこともする」納得の理由
加熱するティーカフェチェーン業態
実は、カフェの店舗数が足りないことを反映してなのか、コーヒー業態が頭打ちになっているのか、コーヒーチェーン各社が「ティー業態」に積極的にチャレンジしている。特に今年はそうした動きが本格化し、いよいよコーヒー一択だったカフェ業界にお茶が進出してきている印象がある。 スターバックスコーヒーが手がけるティー専門店「STARBUCKS Tea & Café」は2024年に入って出店を加速させている(現在15店舗)。また、タリーズコーヒーが運営するティー専門店「&TEA」も、2017年ごろからじわじわと数を増やし続け、現在33店舗を構えるまでになった。 そうなると、ゴンチャも「ティーカフェチェーン」というだけでは差別化ができなくなる。それについてはどのように考えているか。 「差別化について2つ考えていて、1つは『従業員体験』の向上です。例えば店舗を設計するときは、基本的にお客さんが座るスペースを確保した方が売り上げが増えます。でも、そうすると作業スペースが狭くなってお店で働いている人たちが働きにくくなる、といったことが起こるんです。 私たちがこれまでビジネスをやってきて分かったことは、従業員満足度が高い方が、お客様満足度が高く、売り上げも上がること。短期的な数字としては売り上げを毀損するかもしれないけれど、従業員が働きやすく、よいサービスが提供されるお店の方が売り上げも上がるんですよね。 二つ目は、『推し活』のように、ゴンチャファンの方が我々と一緒にゴンチャを成長させていくことを感じていただけると、他社さんとの大きな差別化になると思うんです。 実際、我々はレシートアンケートのコメントを見て会社のアクションを変えたりもしますし、店舗で働く人の声でオペレーションを変えたりもしています。ゴンチャはまだスターバックスさんやタリーズさんのように大きなブランドではないからこそ、それを感じていただきやすいのではないかと。 そうした意味では、ファンコミュニティのようなものも今後作っていければいいな、と思っています」 確かにゴンチャにはファンが多く、その人たちの熱を活かすことで、業界の中でオンリーワンの存在になっていくのかもしれない。 「カフェ足りない問題」に人々が気づき始めたいま、徐々にカフェ業界の趨勢も変わってきている。そんな中、ゴンチャをはじめとする「ティーカフェチェーン」はどのように「人々の居場所」になっていくのだろうか。今後の展開も期待しながら見ていきたい。
谷頭 和希(都市ジャーナリスト・チェーンストア研究家)