【サウジ戦でも生命線だった”森保ジャパン”の心臓。遠藤&守田の“絶対性”に潜むリスク(1)】1点おのアシストした守田、その攻め上がりを促した遠藤との信頼……阿吽の呼吸がもたらすもの
アジア最終予選で重要な働きをしている2人がいる。キャプテンの遠藤航、そして2ボランチを組む守田英正だ。 ■【画像】「神対応すぎだろ」「これは、嬉しい」日本代表MF守田英正がサウジアラビア戦後に急遽駆け寄って実施した「ファンサービス」■ ここまで3試合の全てにスタメンで起用されて、それぞれ2試合でフル出場している。中国戦は遠藤が途中で田中碧に代わり、バーレーン戦では終盤に守田がお役御免となり、鎌田大地が2シャドーから左ボランチに下がって遠藤との2ボランチを形成した。 ここまでの3試合を3ー4ー2ー1で戦ってきているが、高い位置からハメに行く時は4ー4ー2、自陣に構える時は5ー4ー1になる可変性の高いシステムにおいても、チームの心臓である二人のボランチのバランス感覚は生命線だ。常に攻守のバランスを取りながら、ピンチには最終ラインのスペースを埋めてボールを跳ね返し、チャンスと見れば前目に攻め上がって、フィニッシュに厚みをもたらしている。 ポゼッション能力が高く、カウンターも鋭いサウジアラビアとの戦いで、二人の重要性はさらに増した感があった。遠藤はサウジアラビア戦における守田との関係について「かなり大事にはなると思っていた。(4ー3ー3の)相手もアンカーがいて、8番のポジションが2枚いてみたいなところで、マンツーマン気味に来ていたので。そこでうまく剥がせればというのはイメージしていた」と振り返る。
■信頼と阿吽の呼吸
攻撃の部分では相手のインサイドハーフとマッチアップしながら、どちらかというと守田がワイドにポジションを取って、ボールサイドに数的優位を作ろうとする分、遠藤は中央に残ってサウジアラビアのプレッシャーを吸収していたが、タイミングよく受ければシンプルに叩くだけでなく、1つ前に踏み込んだり、横に動かして配給するといった意識が見られた。 そこから1つ飛ばすパスなどがズレるケースも目立ったのは、もしかしたらリバプールでなかなか試合に絡めていない影響もあるかもしれないが、基本は遠藤が6番、守田が8番の役割を担いながら、ケースバイケースで役割を逆転させるなど、阿吽に呼吸に近いレベルまで達してきている。もちろん、左シャドーの鎌田大地もどちらかというと8番タイプなので、日本も流れの中で遠藤、守田、鎌田が逆三角形を形成することもある。 前半14分に奪った日本のゴールは右ウイングバックの堂安律によるサイドチェンジを起点に、左の三笘薫が折り返すと、タイミングよくゴール右に攻め上がっていた守田がヘッドで落とし、鎌田が押し込んだ。守田は「ウイングバックが高い位置を取れるとなると、サイドの幅がすごく広がる。そうなったら相手のバックに対してスペースが間、開くので、その分入っていけるスペースがあって」と振り返るが、守田が数手先の道筋を読むような攻撃参加ができるのも、遠藤のバランスワークに対する信頼あってのものだ。 (取材・文/河治良幸) (後編へ続く)
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