最も注目を集める若手建築家・秋吉浩気。アプリ開発や3D加工機の輸入販売を手掛ける建築家は一体何を考えているのか…
次世代を担う建築家をフィーチャーする連載企画。デジタルデータをもとにものづくりを行う「デジタルファブリケーション」。3Dプリンターやレーザーカッターがその代表的な例です。デジタルファブリケーションの技術を建築分野に応用するという新しいアプローチで、今、注目を集めている建築家が秋吉浩気さんです。 【写真集】今、最も注目される若手建築家・秋吉浩気が目指すもの 設計力はもちろん、前例のない取り組みのうえで必要なアプリの開発や製造機の販売など、実際に世の中で活用できるようにするための仕組みづくりから手掛ける実業家としての顔も。まさに、業界に変革をもたらそうとする「次世代の建築家」です。
建築家・秋吉浩気さんのポリシー「建築の民主化」
取材に訪れたのは横浜の湾岸、ふ頭エリアにある工場。積み上がる木材、稼働中の機械、工具室、そしてその傍らでパソコンを開くクリエイターのスタッフ。他の建築事務所とは明らかに様子が違います。秋吉浩気さんの設計活動が、机上だけでないことはすぐに理解できました。 「建築の民主化」。秋吉さんの掲げる言葉です。気づかぬうちに選んでしまう「既製品」に囲まれた暮らしを脱し、「つくる」喜びや自由さを個人の手に取り戻したい、そんな思いが込められています。 「大学では課題で仮想の建築計画をたくさんトレーニングするわけですが、僕にはどうしてもリアリティが見えなかった。建築の思考をどうすればもっと実社会に介入させていけるかと考えたときに、3Dプリンターなどデジタル技術を使えば“つくる”をよりダイレクトに世の中に落とし込める方法があるのではと思ったんです」。 大学院生の頃から新しいものづくりの在り方に挑戦。今では、3D木材加工機の輸入・販売や住宅設計アプリの開発など、4つの事業を展開するまでに。思い描くビジョンが現実的に社会で機能するように、ソフトウェアや流通などの仕組みづくりから実行してきました。より高度にカスタマイズが必要なプロジェクトでは、デジタル技術を駆使しながら自ら設計を担っています。