《歌舞伎町ルポ》「全身血だらけで帰宅」「整形したがる」…トー横キッズの親たちが明かす「我が家の教育法」
「私立の中高一貫校に行かせたのに」
「私には17歳の娘と19歳の息子がいます。10年前に妻と離婚して以来、男手ひとつで二人の子供を育ててきました」 こう語るのは、冒頭のDMの送り主である加藤隆さん(48歳・仮名)だ。都内で2つの介護施設を経営している。 しっかりした学歴をつけさせたかった加藤さんは、兄妹二人に中学受験までさせているほどの教育パパだ。無事、どちらも私立の中高一貫校に進学。入学後も大学受験を見据えて予備校に通わせる一方で、長期休みには3人で海外旅行に行くなど家族仲が良くなるように努めてきた。 娘は内向的で友達が多くはなかったが、そのぶん仲の良い子とはとことん付き合う。 これといった反抗期もなく、勉強もコツコツしていた努力家だったので父親からすると不安な要素はなかった。 「子供たちが幼いころに離婚してしまったからこそ、父子家庭をハンデと思わせないように、おカネと愛情を存分にかけて育ててきたつもりです」 ところが、高校に進学してから娘の素行が怪しくなってきたという。予備校が入っていない曜日でも、夜10時以降に帰ってくる日が増えた。「友達と遊んでいた」と言うが、細かく聞くと口ごもる。加えて、「自分の顔が嫌だ」「整形したい」と主張するようにもなった。そのたびに加藤さんはたしなめてきたという。 おかしいと思いながらも、人に話しにくい内容なので誰にも相談できない。不安になっているなか、ある事件が起きる。
深夜に全身血だらけで帰ってきた娘
「娘が私のクレジットカードを勝手に使って買い物を繰り返していたんです。しかも、支払いを滞納してしまった商品もあり、ブラックリストに入っていました。そこでつい怒りに我を忘れてしまい『家から出て行け!』と言ってしまったのです。娘は家から出て行ってしまい、しばらく帰ってこなくなりました」 家出した娘が身を寄せた場所がトー横だったのである。どうやら以前から出入りしていたようだ。2週間ほどして帰宅したころには容姿が一変していて、地雷系ファッション(白黒モノトーンを基調とした服装)に身を包み、濃いメイクを施し、ピアスまで開けていた。 その後もトー横に通い続けた娘は、自傷行為をしていることも判明した。リストカットで18針ほど縫ったこともある。 「結局、娘は学校を辞めることになりました。その後も大学受験のために予備校には通わせていましたが、トー横でたむろしていたと思います。 ある日、娘が0時を過ぎても帰ってこなかったので心配していたら、深夜に全身血だらけで帰ってきました。トー横キッズたちとSNSで購入した向精神薬を大量服用(OD)したところ、まともに歩けなくなって駅のホームから転落したと言うんです。頭が真っ白になってしまいました」 加藤さんは、どこにでもいる普通の、いや普通以上に愛情をもって子供と向き合う父親だった。それだけに、無力感に苛まれたのだろう。 後編記事『《歌舞伎町ルポ》「中高一貫校に入れたのにホス狂に」…トー横キッズの親たち「悲痛の告白」』へ続く 「週刊現代」2024年11月16日・11月23日合併号より
週刊現代、佐々木チワワ