ミイラからツタンカーメンの祖母の顔をデジタル復元! ファラオが愛した美貌の王妃
デジタル・アーティストのPhotoshop Surgeonが、ツタンカーメン王の祖母であるティイ王妃のミイラ化された遺体から顔を復元。その姿を公表したとデイリー・メールが伝えた。 【写真】ピラミッドやスフィンクス、一度は行っておきたい遺跡24選 ティイ王妃は、紀元前1390年から53年まで在位したエジプトのファラオ、アメンホテプ3世(紀元前1398年~紀元前1338年)の正妃だ。彼女はツタンカーメンの父であるアメンヘテプ4世の母であり、彼が王位に就いた後もエジプト王族の有力者であり続け、40歳から60歳の間に亡くなったとされている。 1898年、フランスの考古学者ヴィクトル・ロレによって、王家の谷のアメンホテプ2世の墓から「年長の女性」と「年少の女性」と呼ばれる2体の遺体が発見されたが、当時は身元が分からなかった。その後、2010年にティイ王妃の名前が刻まれた小さな棺から発見された髪の束と「年長の女性」の髪のDNA鑑定をしたところ、ほぼ完璧に一致することが証明された。 王妃の生前の姿のデジタル復元に挑んだのは、デジタルアーティストのPhotoshop Surgeon。これまでジョージ・ワシントンの肖像画に皺を加えてよりリアルにしたり、ドナルド・トランプを女体化したりと衝撃的な加工を施すことで知られるアーティストだ。 彼らはまず、ティイ王妃の遺体のくぼんだ眼窩に目を入れ、まぶたの周りの皮膚を滑らかにして顔をふくよかにし、次に、骨格に合うように注意深く鼻を足した。そして、長くカールした豊かな茶色の髪を加えた。最終的に出来上がったのは、大きな茶色の目、ハート型の口、褐色の肌を持った美しい女性の姿だった。 ティイ王妃は、エジプトの戦車隊長ユヤとエジプト人女性トゥヤの娘で王家の血は入っていない。それにもかかわらず、王は多くの妻の中で彼女を寵愛したというのもこの美貌があってのことかもしれない。 実は、過去にシチリア島の法医人類学・古病理学・生体考古学研究センター(FAPAB)の研究者たちが、ツタンカーメン王とその父アメンヘテプ4世の頭蓋骨を使って2人の顔をデジタル復元している。結果、長い顎と鋭い目、そして頭蓋骨の形と尖った鼻が共通していることが分かった。 さらに、ツタンカーメンの身体を復元したところ、紀元前14世紀の統治時代には、戦車レースを愛する少年王というよりも、杖を使って移動しなければならない姿だったことが明らかになった。また、ツタンカーメンの遺体に2000以上のコンピュータースキャンで構成される「仮想解剖」と遺伝子分析を行ったところ、彼の両親が兄弟姉妹であったことが裏付けられた。そのことから研究者は、ツタンカーメンは近親相姦の結果、数々の健康上の問題を抱えて生まれ、それが早世に繋がったと考えている。
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