ただの鼻詰まりだと思っていたらガンだった!ふつうの主婦が“がんサバイバー”として戦ったリアルな闘病エッセイ【書評】
ただの風邪だと思っていたら、実はガンだった…。『鼻腔ガンになった話』(やよいかめ/KADOKAWA)は、ごく普通の生活を送っていた主婦が「がんサバイバー」になった経験を描いた闘病コミックエッセイである。 【漫画】本編を読む
はじまりは、単なる鼻水と鼻詰まりだった。病院にいくことを後回しにしていたやよいさんは、鼻水やたんに血が混じっていることに気づく。次第に鼻詰まりのせいで眠れなくなるなど、生活に支障が出てきた。 重い腰をあげ耳鼻科を受診したものの、症状はよくならない。薬でよくならないのであれば手術だと、大きな病院に転院。さまざまな検査をするなかで、ガンであることがわかる。 やよいさんはガンを宣告されたあと、子どもたちにもきちんと事情を説明した。この選択により、子どもたちの心が成長しただけでなく、家族全体の絆が深くなったようだ。 やよいさん自身も、「自分が我慢してみんなが楽になるのなら」という考えから、「大切な家族を守るために、自分自身を大切にしよう」と考えるようになる。 1作目では放射線治療や抗がん剤治療について描かれ、続編では手術の話、さらには現在の様子や親族の闘病についても触れられている。ガンがどういう病気か、ガンになるとはどういうことかをリアルに想像できるだろう。 2020年の統計データでは、日本人の2人に1人はガンになると言われている。5年相対生存率は男女計で64.1%だ。 もしガンになってしまった場合、早期発見が生存率を上げる鍵となる。エッセイ内でも描かれているが、「健診でガンが見つからなければラッキー。ガンが少しでも早く見つかったら、もっとラッキー」なのだ。 本作は多くの人にとって、自分の身体と向き合うきっかけになるのではないだろうか。がんサバイバーとして戦っている方々はもちろん、年齢性別を問わずたくさんの人に読んでほしいエッセイである。 文=ネゴト / 森ソタカ