過去60年で「S&P500」を20倍超上回る「フィデリティ・マゼラン・米国成長株ファンド」が日本上陸
これらの銘柄の発掘にあたっては徹底した企業調査が何より重要になります。特に、「業績回復株」に投資する場合は、復活する確信がないと投資できません。「マゼラン・ファンド」によるピーター・リンチの成功は、徹底的なボトム・アップで調査を行うことを重視するフィデリティの運用の原点になっています。
「マゼラン・ファンド」の投資戦略は、グロース(成長株)戦略とバリュー(割安株)戦略の良いところをとったような戦略です。今の運用業界の用語を使うと「GARP(Growth at Reasonable Price)」と言えると思います。中長期の成長性からみて割安と判断される銘柄に投資します。ピーター・リンチが担当した時代に、戦略に磨きがかかりました。
――ピーター・リンチのノウハウは現在の運用に継承されていますか?
早藤 ピーター・リンチは今でも後輩のポートフォリオ・マネージャー(PM)に直接アドバイスを送っています。現在の担当PMはサミー・シムネガー(Sammy Simnegar)ですが、サミーはピーターから「常にオープンマインドで市場と接するように」というアドバイスを受けたと言っていました。
現在の運用ポートフォリオに組み入れている銘柄でも、たとえば、イーライリリーは米国のヘルスケア大手ですが、当ファンドで本格的に投資を開始した2020年前後の頃は、既存商品の特許の期限切れが相次いだことで株価の上値が重い状況にありました。その中で、運用チームは画期的な肥満治療薬の将来性に着目し、アルツハイマー治療薬など有望な開発中の製品が控えていることから、当時の株価を割安と判断しました。その後、株価は4年で5倍ほどに値上がりし、ファンドのパフォーマンスに貢献しました。今年、高収益が話題になったエヌビディアも2020年に本格的に組み入れています。今誰もが注目する銘柄であっても、ピーター・リンチのように市場が注目し始める前に発掘できたことが優れた実績につながっています。