気づいたら失明寸前!? 「糖尿病網膜症」は急速に重症化が進む 海外の研究で明らかに
シンガポール国立眼科センターらの研究グループは、「糖尿病網膜症の重症度ごとの滞在期間を調べた結果、発症までは約8年の猶予期間があるものの、軽症や中等症から重症への進行が1年以内と短いことが判明した」と発表しました。 この内容について眞鍋医師に伺いました。 [この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております。]
研究グループが発表した内容とは?
編集部:シンガポール国立眼科センターらの研究グループが発表した内容について教えてください。 眞鍋先生:シンガポール国立眼科センターらの研究グループは、糖尿病網膜症の重症度の推移確率を検討する縦断コホート研究を実施しました。研究結果は学術誌「The Asia-Pacific Journal of Ophthalmology」に掲載されています。 研究対象となったのは、成人の2型糖尿病患者9481人です。追跡期間の中央値は2.91年で、追跡の合計は2万6822人/年でした。 ベースライン時の重症度は、糖尿病網膜症なしが87.0%、軽症非増殖糖尿病網膜症が11.4%、中等症非増殖糖尿病網膜症が1.0%、重症非増殖糖尿病網膜症と増殖糖尿病網膜症の合計が0.6%でした。 年間の推移確率を見ると、症状が進行した場合では「糖尿病網膜症なし→軽症非増殖糖尿病網膜症」が6.1%、「軽症非増殖糖尿病網膜症→中等症非増殖糖尿病網膜症」が7.0%、「中等症非増殖糖尿病網膜症→重症非増殖糖尿病網膜症と増殖糖尿病網膜症の合計」が19.3%となりました。 逆に症状が回復した場合を見ると、「軽症非増殖糖尿病網膜症→糖尿病網膜症なし」が55.4%、「中等症非増殖糖尿病網膜症→軽症非増殖糖尿病網膜症」が17.3%、「重症非増殖糖尿病網膜症と増殖糖尿病網膜症の合計→中等症非増殖糖尿病網膜症」が4.4%でした。 各状態の平均滞在時間と死亡率 糖尿病網膜症なし:平均滞在時間8.18年で死亡率1.2% 軽症非増殖糖尿病網膜症:平均滞在時間0.82年で死亡率2.0% 中等症非増殖糖尿病網膜症:平均滞在時間0.82年で死亡率18.7% 重症非増殖糖尿病網膜症と増殖糖尿病網膜症の合計:平均滞在時間2.17年で死亡率30.0%