ベネズエラ地元メディアは森保Jとの引き分けをどう報じた?「スピードと運動量が南米人を苦しめる」
サッカーのキリンチャレンジカップ2018が16日、大分の大銀ドームで行われ、日本代表はベネズエラ代表と1対1で引き分けた。セットプレーからの酒井宏樹の芸術ゴールで先制したが、PKを与えるミスで初陣からの連勝は「3」でストップ。史上初となる初陣からの4連勝は逃した。 ベネズエラは、過去にワールドカップ出場経験がなく、ともすると“南米最弱国”と揶揄されることもあるが、FIFAランキングは29位で、日本の50位よりはるか上にいるチーム。プレミアリーグのニューカッスルで武藤嘉紀とプレーしているFWのサロモン・ロンドンや、ユベントスでのプレー経験があるMFのトマス・リンコンらも先発出場した。ベネズエラ国内では、野球の人気が根強く、他の南米の国々に比べるとサッカー熱が若干低いのだが、ベネズエラの各メディアは、速報で、この試合を報じた。 各紙の見出しを拾うと、2001紙が「“赤ワイン(ベネズエラ代表の愛称)”が日本の連勝を止めた」、メリディアノ紙が「トマス・リンコンが“赤ワイン”を救った」、エル・ウニベルサル紙が「“赤ワイン”上昇中 ホセフ・マルティネスが日本戦でドローに持ち込むペナルティを誘発した」というもので、引き分けを評価するものが占めた。 しかし、記事の内容は日本の強さに圧倒された内容を伝えるものが多かった。 エル・ウニベルサル紙は、堂安律と中島翔哉の2人を絶賛した。 「日本は、徐々に自分たちのペースで試合を進めていった。スピードでベネズエラを苦しめ、堂安は何本もシュートを打った。そして中島は、GKラファエル・ロモを30分間も苦しめ続けた。日本が試合を支配していき、逆にベネズエラは力を弱めた」 同紙は、試合の流れを変えた理由として、ホセフ・マルティネスの投入と、ルイス・ゴンザレス、アリストテレス・ロメロとの3人同時起用にあるとした。 「南米チームが悪いプレーをしているときに、今季メジャー・リーグ・サッカーで31ゴールを記録したホセフ・マルティネスが投入され、ペナルティ・キックをもたらすプレーに結びついた」と、81分の同点PKにつながった理由をクローズアップしていた。 2001紙は「日本は、ベネズエラ陣内で堂安を中心に素早い三角パスで攻撃した。その堂安は鋭いシュートを打ったがゴールポストを外してしまった」と、前半26分のシーンを紹介。「最初のゴールは、ファウルによってもたらされたFKから酒井宏樹が決めた。試合が進むにつれて、日本は堂安と中島のスピードと運動量で南米人を大いに苦しめた」と、中島と堂安の連携を高く評価した。 また前半11分に失点を食い止めたセンターバックの冨安健洋のプレーに高評価を与えたのが、ペルーのエル・コメルシオ紙。 「日本の驚異的なディフェンスラインがクリア」との見出しを取り、無人のゴールに滑り込んでシュートをクリアしたシーンを動画で紹介した。 「この時、ベネズエラの点取り屋、サロモン・ロンドンは、自身のプレーがゴールになると確信していただろう。しかし、そうはならなかった。彼はペナルティエリア内で敵のヘディングに対応し、GKダニエル・シュミットがボールを奪おうとした瞬間に、その横を抜けるシュートを打った。ボールはゴールラインを越えようとしていたが、冨安は全速力で走り込み、危機を脱した。彼のプレーは高い評価に値する」 吉田麻也と共に最終ラインを守った冨安は、20歳になったばかり。地球の裏側のメディアまでが、新生・日本代表の若い力に注目している。