1ストップ戦略は奇策すぎた? 完遂ラッセルはトップチェッカー……なぜ他のトップチームは真似なかったのか?
フェラーリ、レッドブルも1ストップ戦略を実行できず
最終的に3位に繰り上がったフェラーリのシャルル・ルクレールも、1ストップ戦略を試みたものの、よりオーソドックスな戦略に落ち着いたと語った。 「それは僕らの戦略のひとつだった」とルクレールは言う。 「でも僕がそれをするのは、かなり無理があると分かっていた」 「自分が前を走っている時に、1ストップ戦略が上手くいかずに3~4台にアンダーカットされてしまったら、大きくポジションを落としてしまう。後方のドライバーたちに合わせた方が良かったんだ」 「(メルセデスは)かなり強かったし、ペースが良かったから、1ストップ戦略が上手くいったんだと思う」 ルクレールが決断した時点では、ハードタイヤスタートのチームメイト、カルロス・サインツJr.がまだ十分な周回数を消化していなかったため、フェラーリはハードタイヤにどれだけのデグラデーションが発生するか分からなかった。 「主な問題は、ミディアムでスタートし、みんながピットインする11周目にこの決断を下さなければならなかったことだ。その時は、ハードのデグラデーションがゼロであることをまったく理解できていないんだ」 「(1セットのタイヤで)スパを35周も走るなんて、想像もできなかった」 グリッド降格ペナルティを受けて11番手スタートとなったフェルスタッペンも、1ストップ戦略で好結果を得ることができていたはずだ。 フェルスタッペンとチームメイトのセルジオ・ペレスは、他チームのドライバーと異なり、ハードタイヤを1セット、理想的とは言えないミディアムタイヤを2セット残すという状況だった。 理論的には1ストップ戦略が魅力的な選択肢だが、フェルスタッペンはレッドブルRB20のタイヤへの攻撃性が高いと考えていたようだ。 「僕らはミディアム2セット、ハード1セットだった。ハードがもう1セットあったら助けになっていただろうね」とフェルスタッペンは語った。 「もちろん、ジョージは1ストップ戦略でレースを制したけど、いずれにせよ、僕らにそうするだけのタイヤの摩耗度合いや寿命があったとは思えない」 レッドブルのクリスチャン・ホーナー代表も次のように説明した。 「金曜日のデータではグレイニング(ささくれ摩耗)や高いデグラデーションが指摘されていたが、実際は1ストップ戦略で勝つことができた。誰もそんなことは想像できなかったと思う」 「ジョージが1ストップでレースを進めるとは思っていなかった。しかしそれを成功させた彼とメルセデスは称賛に値する。彼らでさえ、あの時はその戦略が機能すると思っていなかっただろう」
Filip Cleeren