「セックスレスが5年間も継続中……」妻との関係に悩む男に、精神科医・名越がアドバイス
精神科医の名越康文さんが、オトナのさまざまな悩みに答えを出す本連載「オトナ生活相談室」。
今回は、夫婦間のタブー(!?)であるセックスレスの問題に斬り込む!
【Question #07】妻と5年間、セックスレス……今さらどうすれば?
子どもが生まれてからというもの、かれこれ5年くらいセックスレスの状態が続いています。妻は私に求めてくる様子はなく、こちらからどうスキンシップを求めたらよいのかわかりません。普段、仲が悪いわけではなく、そこそこコミュニケーションもとっています。なので今さら私の方から関係を求めて嫌がられたら……という怖さもあります。(45歳・神奈川)
【Answer】まずはセックスよりスキンシップを重視してはいかがでしょう
日本は、もともとセックスレス夫婦の割合が多い傾向にあるといわれています。最新の調査では、夫婦の68.2%がセックスレス傾向にあるという結果も出ています。※ そう聞くと、もはやセックスレスは夫婦間の問題を越えた社会問題だと考える人もいるでしょう。 ※ 夫婦のセックスレスに関する実態調査(レゾンデトール株式会社) ただ、「夫婦だからセックスをしなければならない」とか「夫婦間でセックスがないのは危機的な状態だ」という硬直した考えに取り憑かれる必要もないのではないか、と私は思います。 心理学的な価値観からいうと、長い期間を共にしていく夫婦にとって、パートナーと1日1日を仲良く機嫌よく過ごせることがより根本的で大事であるという考え方も成り立つからです。
よく、脳科学の専門家が「幸せを感じるとオキシトシンが出る」などという言い方をしますよね。 お互いが相手の姿を見たら「家族が一番落ち着くな」と感じたり、会話することが「楽しい」とか「癒される」などと思う。 そういう良好で建設的な関係性が生活の基盤にある、という考え方をしてみるということですね。 そうした関係性の基本を抜きにして、いきなりセックスがなければならないと考えると、事態はあまりうまく進展はしない、というのが心理学、特に対人関係論に基づく心理学の考え方です。 ですから、具体的には「少し余裕をもって、方向性を少しずらして考えてみる」というのが、心理学的なアプローチになるのかなという気がします。