「セックスレスが5年間も継続中……」妻との関係に悩む男に、精神科医・名越がアドバイス
例えば、お互いが相手のことをいい人だと思っている関係性であれば、休日のスーパーへの買い物に同行して、一緒に買い物を楽しんで荷物を持つということから始めてみる。 あるいは、相手が体がだるくて困っている様子ならば、ストレッチを手伝う、とか、「肩を揉んであげようか?」と声をかけてみる。 日本は肩凝り文化なので、たとえ関係性が少し冷めていたとしても「ちょっとほぐしてあげようか」と言えば、自然に「お願いします」という流れになる場合も多いようです。 このように、まずは思いやる関係性を重ねて、その中で体が触れ合うことが自然になり、それが心地いいものだとお互いが分かり合えるようになる。 そんな時期を何カ月か過ごして、その上でセックスするかしないか流れがどちらになるかはわかりませんが、大事なことはリラックスした親しみの持てる関係性を築き上げることなんじゃないかなと思います。 普段からスキンシップがあまりなくて、手をつないだりするのはハードルが高いというのであれば、夜寝具の中で手をつないでもいいと思います。
カウンセラーとして実際に僕がこの方にお会いするのであれば、じっくり時間をかけて彼の現状を聞かせてもらいながら、これらの方法をいくつか示した上で「あなたにとって何が一番やりやすそうですか?」と尋ねると思います。 それだけお互いの身体に関する感覚的な部分はデリケートなものだと思うからです。 体が触れ合うといったスキンシップがAで、手をつなぐはB、Cが性的な関係だとしたら、自分がやりやすそうなところから、ゆっくりと段階を積み上げるのがいいのではないでしょうか。
もっというと、スキンシップの前の段階も実はあります。それは、心のスキンシップです。 例えば、出かけるとき「帰りに何か買ってくるものある?」と声をかけるとか、夫婦で買い物に行ったときに「荷物持つよ」と手を差し出すなど。 相手が自分の役に立とうとしていることが伝わってくると、誰だってうれしいものだし、そうした積み重ねが信頼関係につながっていきます。
まず、相手が自分のことを気遣ってくれてるんだということをお互い確かめ合う段階がしばらくある。それがいってみれば第一段階。そしてここがいちばん大事だったりします。 第二段階は相手の肩をもんであげようかとか、たたいてあげようかといういわば触れ合いの段階。 そのあと寝るときに少し体の接触があるという段階があって、さらに手を繋いだりして、お互いが安心して触れ合えるようになる段階。 それくらいの行程を経た方が、気持ちに余裕が生まれて、ゴールへの成功率も上昇するんじゃないかなという気がします。 達 弥生=取材・文 アントレース=編集
OCEANS編集部