デートでも婚約でも結婚でもない…恋愛過程の「初期」に最も分泌される物質が不足すると不眠症になりやすい
■寝具と照明の工夫で快眠へのベストな部屋づくりを 「最近は枕にこだわる人も増えましたが、実は枕だけ工夫しても意味はありません」(三橋氏) 枕を買うときには店舗で高さなどを計測して自分に合ったものを探すが、そのときに利用したマットレスと自宅のマットレスは違う。家のマットレスがへたっていれば、枕を変えても意味がない。マットレスの寿命は使う人の体重や製品によっても変わるが、20cm程度の厚いマットレスの場合、7~10年で交換が必要になるという。朝起きたときに腰がだるい、痛い場合にはマットレスがへたっている可能性が高い。枕とマットレスをセットで選ぶのが理想という。また、年齢によっても最適な枕の高さは変わる。 「枕の高さといびきは大きく関わっていますが、いびきをかきにくい枕の高さの許容範囲が年齢とともに狭くなっていくのです」(同) 室内の明るさも睡眠に影響を及ぼす。三橋氏によると「『夜中トイレに行ったあと寝れないんです』と相談しにくる人がいるのですが、電気をつけないようにアドバイスした途端に眠れるようになったという声もよく聞きます」と言う。自分に合った環境を整えるのも、快適な睡眠への大事な一手だ。 ※本稿は、雑誌『プレジデント』(2024年7月5日号)の一部を再編集したものです。 ---------- 川野 泰周(かわの・たいしゅう) 林香寺住職、精神科医 RESM新横浜 睡眠・呼吸メディカルケアクリニック副院長。1980年横浜市生まれ。2005年慶應義塾大学医学部医学科卒業。慶應義塾大学病院精神神経科、国立病院機構久里浜医療センターなどで精神科医として診療に従事。禅修行の後、2014年臨済宗建長寺派林香寺(横浜市)住職。寺務の傍ら都内及び横浜市内のクリニック等で精神科診療にあたる。『人生がうまくいく人の自己肯定感』(三笠書房)、『「精神科医の禅僧」が教える 心と身体の正しい休め方』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)など著書多数。 ---------- ---------- 林 悠(はやし・ゆう) レム睡眠研究者 東京大学理学部卒業。2022年より東京大学大学院理学系研究科教授、筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構客員教授を兼務。睡眠を研究し、認知症や精神疾患などに対する予防治療にも挑む。 ---------- ---------- 三橋 美穂(みはし・みほ) 快眠セラピスト 睡眠環境プランナー。寝具メーカーの研究開発部長を経て、2003年に独立。個人相談のほか、企業の睡眠関連事業にも広く携わる。今まで枕のフィッティングは1万人以上に。著書に『驚くほど眠りの質がよくなる 睡眠メソッド100』。 ----------
林香寺住職、精神科医 川野 泰周、レム睡眠研究者 林 悠、快眠セラピスト 三橋 美穂 文=向山 勇 図版作成=大橋昭一