劇的な変化ではなかった「新NISA」、積立投資の効用はジワリ浸透
投資信託協会が2024年1月に実施した「投資に関するWeb調査」の結果が6月3日に公表された。全国の20~69歳の男女1万人を対象とした調査で、性・年代・居住エリアの人口構成比で割り付けで集計する手法は、日本国民全体の投資に関する意識と実行の現状を把握する機会になっている。2024年調査は、新NISAがスタートした直後の1月22日~25日に実施され、新NISAが投資に与えた影響を確認することができるものとして注目された。結果として劇的な変化はなかったものの、積立投資に対する意識が高まっていることが確認された。また、今回から投資に関するリテラシーを測る調査も実施されるようになった。
投資の実施状況については、「投資信託」を保有しているのは26.8%で前年の25.9%とほとんど変化がなかった。「株式」の保有も27.3%で前年の28.5%と大きな違いはない。これらは、「定期預金・積立預金・外貨預金」の40.5%や「貯蓄型保険」の29.3%よりも低い利用率になっている。この調査は、新NISAがスタートした2024年1月を挟んで、新NISAの実施前と後の状況が比較できるが、投資の実施状況だけでは、新NISAがスタートした影響は、ほとんどうかがえない結果になった。
なお、「投資信託」の保有者は、年代別では世代で保有者の比率が大きく異なることはないが、世帯年収が増えるほど保有している人の比率が高まる。「500万円以上800万円未満」では32.8%、「1000万円未満」では35.5%、「1000万円以上」では44.9%になった。
また、株式や投資信託の保有者に投資方法を聞いた回答では、「タイミングを見て投資(一括投資)」が前年の65.9%から63.4%に低下したことに対し、「積立投資」が前年の51.7%から57.2%に上昇した。「積立投資」が国民の間で定着し始めていることが確認できる。この「積立投資」の実施状況を年代別にみると、「20代」では80.7%(一括投資は43.5%)が積立投資を実施し、「30代」でも74.4%(一括投資は52.8%)と若い世代の積立投資実行率が高い。これが「50代」では一括投資が70.0%(積立投資は48.8%)、「60代」では一括投資が79.4%(積立投資は36.5%)と年代が高くなると積立投資の実施率が低くなっている。