老後も「イキイキ意欲的な人」と「同じことばかり繰り返す人」決定的な脳の違い
和田:ここが大事なポイントなのですが、残念なことに、この前頭葉は脳のなかでも加齢とともに最も先に萎縮が進む場所なんですよ。 結局、前頭葉の機能が低下してくると、意欲が落ちてくる。その結果、足腰も使わなければ頭も使わない。身体は衰えて、ヨボヨボになるし、認知症にもなりやすくなる。 ● 「いつも」のルーティンから離れた 想定外な行動をあえて起こしてみる 中尾:前頭葉には鍛え方などあるのでしょうか。 和田:前頭葉を鍛えるには、なるべく想定外なことをわざと自分に起こすんですね。前頭葉が衰えると想定外なことを避ける傾向にあります。行きつけの店しか行かなくなるとか、同じ著者の本しか読まなくなるとか。服装ひとつとっても、自分が黒が似合うと思ったら黒しか着なくなってしまう、とか。とかく冒険することを避けるようになってしまう。 中尾:人との接し方もそうですね。同じ人としか会わずに、新しい出会いを求めなくなる。 和田:おっしゃるとおりです。あるいは人と話していても意見が違うといやだという気持ちになってしまう。
和田:新しい意見や異なる意見を取り入れるキャパシティがなくなるのです。反対に前頭葉が発達している人は意見が違う人と上手に付き合ったり、あるいは上手に喧嘩や言い合いができたりするわけですね。 中尾:なるほど。 和田:ですから、前頭葉を鍛えるには、普段、前頭葉を使わないような生活から少しずらしてみることが重要です。行きつけの店にしか行かないとか、同じファッションしかしない、同じ著者の本しか読まないというような「いつも」のことから、あえて外れてみる。そうやって意外なこと、想定外なことをしてみると、前頭葉が次第に活性化されていくのではないかなと思います。 ● 前頭葉を使わなくなった日本人は 「もっと他人とぶつかったほうがいい」 中尾:日々、新しいことをしていると、前頭葉が鍛えられるということですね。 和田:そうだと思います。しかし、日本人の場合、若いのに全然、前頭葉を使っていない人が多いなと思うのです。コンフリクト(対立や衝突)を嫌って、上の言いなりになったり。あるいはテレビやネットの情報をそのまま受け取ったり。