老後も「イキイキ意欲的な人」と「同じことばかり繰り返す人」決定的な脳の違い
和田:あとは、年を取ってもしっかりお肉が食べられる人。お肉を食べている人には意欲的な人が多い。99歳で亡くなった作家の瀬戸内寂聴さんも晩年までステーキを食べたりしていたそうですが、やはりお肉をしっかり食べて、意欲的な女性の典型と言うべきでしょうか。 中尾:そうですね。 和田:50代以上の女性をターゲットにした『ハルメク』というファッションを主とした月刊情報誌がありますが、あらゆる年代向けの女性誌のなかでも発行部数は最も多く、人気だそうですね。『週刊文春』よりも売れているらしい。ですから、女性というのは年齢を重ねてもファッションに興味があるし、人とのコミュニケーションにも積極的で、意欲的だということです。 ● 脳の前頭葉が衰えると 意欲が湧かなくなってくる 和田:2024年は作家の佐藤愛子さんの作品を映画化した『九十歳。何がめでたい』が公開となりましたが、その主演を務めている草笛光子さんにしても、中尾さんにしても、みんなからの憧れの的なわけですよね。年を重ねてもこんなふうにかっこいい、美しい女性でいたいとみんな思うわけです。 女性にはそうやって年を重ねても意欲的な人がいっぱいいる。それだけ自分の人生のお手本がいる。けれども、男性となるとなかなか見本にして生きようと思える人は少ないのではないかなと思います。
和田:年を取ると、見た目の若さ・美しさが衰えていく一方で、おしゃべりな人間、話のうまい人間のほうがモテるような気がします。それは男性だけでなく、女性もそうなのではないかと思うのですが。 中尾:ええ、そうですね。 和田:見た目もさることながら、話の内容が面白いとか、伊達に年を取ってないなと思わせられるかどうかで、年を取ってからの魅力というのも違いますよね。そうした話の内容の面白さについては、脳のなかの前頭葉といわれる部分の働きが大きく関与しているといわれています。 つまり、物知りな人というのは側頭葉が発達していると考えられます。ですから言語機能が非常に高い。また、計算が速い人は頭頂葉が発達しています。 これらに対して前頭葉というのはクリエイティヴな能力を司る部分です。意外性への対応能力、応答可能性のようなものもこの前頭葉が大きな役割を果たしています。ですから、前頭葉の働きが悪くなると、前例を踏襲する思考パターンになりがちですし、新しい冒険もしなくなります。クリエイティヴなことを思いつかないのです。いわば、前頭葉が意欲を司ると言ってもいいでしょう。