米財務省、4-6月借り入れ必要額見通しを2430億ドルに上方修正
(ブルームバーグ): 米財務省は、4-6月の連邦政府の借り入れ必要額見通しを2430億ドル(約37兆9000億円)に上方修正した。大半のディーラーの予想を上回った。現金収入が当局者予想を下回ったことが主に反映された。
29日の同省発表によれば、4-6月の純借入額は1月遅くに示した予想(2020億ドル)を410億ドル上回る見通し。6月末時点での現金残高予測については7500億ドルで据え置いた。
同省によれば、借り入れ必要額見通しの上方修正は現金収入が予想を下回ったことが主因だが、期初の現金残高増加で一部相殺された。上方修正は一部の予算ウォッチャーにとっては予想外かもしれない。ソシエテ・ジェネラルのストラテジストは財政赤字の改善などにより、借り入れ必要額見通しが1660億ドルに引き下げられると予想していた。
財務省の発表後、米国債利回りは一時的に下げ幅を縮小した。10年債利回りは米東部時間29日午後3時16分(日本時間30日午前4時16分)時点で4.62%前後。一時は4.61%前後まで下げていた。
クレジットサイツの米投資適格・マクロ戦略責任者、ザッカリー・グリフィス氏は上方修正は「やや意外だった」としながらも、「それでも財務省の410億ドルの修正は、われわれが扱う負債と赤字の水準では丸め誤差程度だ。市場の反応は、米国の財政状況に対する敏感さがまだかなり残っていることを示している。ただ修正は長期的観点からは何も変えていない」と説明した。
QT
財務省当局者は、金融当局が月間最大600億ドル相当の米国債のランオフ(償還に伴う保有証券減少)のペースを減速させるとの観測は織り込まなかった。5月1日の米連邦公開市場委員会(FOMC)会合後は量的引き締め(QT)プログラムの縮小が発表されるとの見方が強い。QT縮小の開始時期についてはディーラーの間で見解が分かれている。
ライトソンICAPのルー・クランドール氏は財務省発表前にリポートで、「金融当局による5月1日のQTに関する発表前に財務省が先走ることはないと思われるため、29日の暫定的な調達額見通しは保有米国債のランオフが予測期間中、現行水準で続くと想定する可能性が高い」と指摘した。