「勘違いするな!三塁コーチの判断にギャンブルはない」のセオリー…阪神の岡田監督が9回に本塁突入させて失敗した藤本コーチを叱責した理由とは?
阪神が6月30日に神宮球場で行われたヤクルト戦で4点のリードを守りきれず5-6で痛恨の逆転負けを喫した。スポーツ各紙の報道によると岡田彰布監督(66)は投手継投の準備ができていなかった舞台裏を明かし、9回二死一塁から佐藤輝明(25)の二塁打で代走の植田海(28)を本塁に突入させた藤本敦士内野守備走塁コーチ(46)の判断に激怒した。なぜ岡田監督はコーチ陣を叱責したのか。岡田監督が指摘した攻守のミスを検証した。 【画像】「乃木坂46」向井葉月さんがポニテなびく“世界一可愛いワインドアップ“を披露
岡田監督はしばらくベンチを動かなかった。 何やらあきれたように口元が動いた。 4点のリードを守れず8回にまさかの逆転を許して5-6となった9回。二死から代わったストッパーの田口に対して前川が四球を選び、岡田監督は、代走の植田を送った。続く佐藤の打球はレフトオーバー。藤本コーチは、躊躇することなくグルグル右手を回した。だが、フェンスを直撃した佐藤の打球のクッションボールをうまく処理した並木から長岡を中継したバックホームは“ど”ストライクだった。タイミングは完全にアウト。キャッチャーの松本が捕球した場所に植田がヘッドスライディングを試みる形になってしまった。 スポーツ各紙の報道によると岡田監督は「1点負けてんねんやで。信じられんわ。状況判断やんか」と藤本コーチの判断に激怒したという。 阪神のコーチ時代や世界一となった侍ジャパンでも三塁コーチを務めるなど名三塁コーチとして知られる現在は大阪経済大監督の高代延博氏は「高校球児に伝えたい。プロでも間違う守備・走塁の基本」という著書の中で、三塁コーチがやるべき仕事として「打球の行方、球場の形態、人工芝かそうでないのか。外野の守備位置、風、外野の肩、中継する内野の肩、走者の走力、試合展開、次打者、その調子など、あらゆる状況を頭に入れて根拠のある判断をしなければならない。そして早すぎるストップもダメ。帰塁できるギリギリまで引っ張って判断すること。人工芝であれば、さらに引っ張れる」と書いている。 そして重要な心得をこう書き足した。 「勘違いしてはならないのは、三塁コーチの判断は、決してギャンブルではいけないということ。状況を見極め、根拠ある決断理由を持って冷静に判断すること」 この日の藤本コーチの判断はまさにギャンブルだった。 6月21日の横浜DeNA戦では0-0で迎えた9回二死一、二塁の場面でライトの度会は、前進守備を敷いていたが、小幡のライト前ヒットで、藤本コーチは、二塁走者の植田を本塁に突入させた。タイミングはアウトだったが、度会の送球が若干それてワンバウンドとなってタッチにいくミットに収まらずサヨナラ劇を演出した。岡田監督は「あれを止めたら、もう監督辞めるわ」とコメントし、その判断を称えた。 だが、この時とは大きくシチュエーションが違う。あの試合は後攻めのサヨナラケース。アウトになっても延長に入るだけのこと。だが、今回は1点を追いかける先攻めで同点では勝てない。そして次打者は、この日、2安打を放ち、ようやく目が覚めてきた梅野だった。ヤクルトはストッパーの田口をマウンドに送っており、もう最後手だから交代はない。そう考えるとギャンブルする場面ではない。しかも並木はドンピシャのタイミングでクッションボールを処理していた。神宮球場の外野は広くない。長岡の中継は正確で知られる。植田を三塁をオーバーランさせてギリギリまで引っ張って、このクッションボールの処理を見た時点でストップをかけても良かったのかもしれない。
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