「年末調整の廃止案」に賛否両論! もしなくなったらどうなる? 年収600万円の「4人家族」を例に、メリット・デメリットを解説
年末調整廃止で考えられるデメリット
一方で、給与所得者の年末調整が廃止され、確定申告制に移行した場合、約4635万人が新たに確定申告を行うことになります。これは、現行の確定申告者数の約2倍の数であるため、トラブルが起こる可能性も高いでしょう。年末調整廃止のデメリットには次のようなものが考えられます。 ・企業や行政のシステム導入の負担 ・システム構築などのコスト負担 ・セキュリティ面のリスク マイナポータルとの連携を進める際は、誰もが使いやすいシステムの構築が必要です。さらに、全ての企業で導入しなければ申告する所得に漏れが発生してしまうため、導入コストの負担は大きいものとなるでしょう。 また、セキュリティ面については細心の注意が必要です。個人や各世帯の所得を管理するシステムとなるため、情報が流出した場合はシステムの不備では済まされない大問題となってしまいます。
まとめ
年末調整を行う給与所得者は、約4635万人です。もし年末調整が廃止され、全国民が確定申告を行うとなると現在の確定申告者の約2倍、数が増えることになります。特に導入当初はトラブルが起こる可能性が高く、かえって企業や税務署などの負担が増大することが懸念されます。 しかし、マイナポータルとの連携がスムーズにできれば、国民はワンクリックで確定申告が済むようになります。企業や税務署等の負担も大幅に減る画期的なシステムとなる可能性があります。 今回の年末調整廃止案は、賛否両論がありますが、国民一人ひとりが納税額や税金の使い方に目を向けるよい機会ともいえるでしょう。 出典 国税庁 給与所得の源泉徴収税額表(令和6年分) 国税庁 給与所得者(従業員)の方へ(令和6年分) 国税庁 令和5年分 民間給与実態統計調査 国税庁 令和5年分の所得税等、消費税及び贈与税の確定申告状況等について(報道発表資料) 執筆者:古澤綾 FP2級
ファイナンシャルフィールド編集部