昼寝で夜の睡眠不足を補うことはできるのか?
何度も目が覚めてしまったり徹夜をしてしまった夜には昼寝が必要だと思っている人は多い。しかしそれは果たして効果のある、健康的な手段なのだろうか。神経科学者が解明してくれた。 【写真】真夜中に目が覚めて寝付けない......専門家が教える解決策は? フランス人の三分の一以上が睡眠の質に満足できていないということがフランスの国立睡眠・覚醒研究所とMGEN共済組合が去年3月に共同で行った調査で報告された。質の悪い睡眠の理由は様々(ストレス、テレビやスマホなどのスクリーンの見過ぎ、悪夢、騒音公害)だが、睡眠不足の害を覆す方法もある。その中でもよく知られたものが「昼寝」で、愛好者によればエネルギーを充電し、前日の短すぎた夜に溜め込まれた疲れを挽回してくれるものでもある。しかし本当にそうなのだろうか?
身体的にも精神的にも、回復するには最低限の時間が必要
フランス国立衛生医学研究所(INSERM)の神経科学研究者のアルメル・ランシィヤックさんによると、昼寝は生理学的な欲求で個人差があり、何よりもその長さによって効果は変わるのだそうだ。例えば画家のサルヴァドール・ダリが普及させた"瞬間的な昼寝"はたったの数秒から数分間しか続かないものだ。何か物を手に持ち、寝落ちた時にその物が落ちて大きな音を立てて目が覚めるまでの短時間の睡眠だ。この場合の昼寝は体力の回復というよりはクリエイティビティを刺激するのが目的だと神経科学研究者は説明する。 睡眠が足りなかった夜の翌日に眠気を退治し活力を回復させたいなら、昼寝は少なくとも20分以上とる必要がある。「日中に十分な睡眠を確保することができれば、前夜よく寝られずに溜め込んだ眠気プレッシャーを引き下げることができます」と神経科学研究者。その間、体は徐波という体の回復のフェーズに入る。「このようなタイプの昼寝をすることで注意力、集中力、認知力を回復させることができます」とアルメル・ランシィヤックさんは要約する。 徹夜をしたり、必要な睡眠時間の半分程度しか得られなくて睡眠が大きく不足している場合は(可能であれば)一サイクル、すなわち90分から120分寝ることを同神経科学研究者は推奨する。これは凝縮された一夜です。「1時間半の昼寝をすると体は徐波睡眠をより多く作り出し、細胞を修復したり、成長ホルモンなどの体に必要なホルモンを分泌したりすることができます」と彼女は説明する。そしてREM睡眠という別の睡眠状態も誘発される。これには記憶を定着させたり感情を整理したりする役割がある。