「これってバイクじゃね?」爆走する「魔改造」自転車が街で増殖するワケ
● 警察はなぜ取り締まらないのか? この中で特に問題視すべきなのが、合法である特定小型原動機付自転車の電動モペッドと、原動機付自転車の電動モペッドです。きちんと届出されナンバープレートを装着していればいいのですが、届出せずに電動アシスト自転車のフリをしていることが多いのです。街中でやたらと太いタイヤの自転車を見かけて「かなりスピードを出しているな」と凝視すると、ペダルをこいでいないのが分かります。 筆者のような立場からすると、「なぜ、警察はもっと取り締まらないのだろう?」と怒りの感情がわきます。今年4月10日に東京・渋谷で大がかりに取り締まった時の様子は、多くのメディアが記事にしています。きっと、警視庁が「取り締まりをするので取材してください」と呼びかけたのでしょう。 こうした取り組みは評価できますが、一方で、警察官の前を明らかにおかしい電動モペッドが素通りする様子も散見されます。もっとまめに取り締まらないことには、どうも納得がいきません。 なんと、警察官が停止させて事情を聞いても、乗っている人は「ペダルが付いているから自転車でしょ」とか「原付だと知らなかった」とか言い張るらしいです。が、知らないと言えば済む問題ではありません。
● 軽い気持ちで乗ると人生を「詰む」ことに そもそも、取り締まる側の警察官が、「原付なのか、電動モペッドなのか、区別がつかない」なんて言うのは、単なる勉強不足でしょと筆者は思います。ペダルを踏まずに速いスピードで走っていれば、それで十分に分かるのではないでしょうか? 自転車だと言い張って乗っていたとしても、事故を起こした際は原付として扱われます。ナンバーを取得していなければ当然、自賠責保険にも入っていないので無保険車でしょう。免許がなく運転していれば無免許運転ですし、酒を飲んでの運転は酒気帯びや飲酒運転の重罪です。ブレーキング時にブレーキランプが点灯しなければ整備不良にもなります。 このような状態でもし人身事故を起こせば、当然ながら罪に問われることになり、多額の慰謝料の支払いも待ち受けています。自賠責保険がありませんから全額自分で支払う必要があります。交通事故の慰謝料は重い過失がある場合、自己破産しても免責になりません。 軽い気持ちで電動モペッドを、電動アシスト自転車のフリをして使っていると、人生を「詰む」ことになりかねません。何より、人に大きな被害を与える可能性のある乗り物がはびこっている現状は、一刻も早く解消されて然るべきです。
諸星陽一