【BMW 「CE 02」海外試乗インプレ】これは楽しい!いよいよEVが本物になってきた
試乗インプレ
────────── ガソリン車を上回る加速力 ────────── 今回用意されたのはハイライン仕様。ゴールドの倒立フォークや3色シート、グリップヒーターが装備された上級バージョンだ。未来的でありながらどこかレトロな雰囲気もあり、リスポンの旧い街並みにもすんなり溶け込むデザインだ。キックボードを思わせる低く長いシルエットだがホイールベース1353mmで意外とコンパクト。車重132kgは原2スクーター並みだ。シート高も750mmと低めで足つきも抜群。高めのワイドハンドルと前後に動きやすいベンチシートのおかげでライポジの自由度も高い。 ちなみにタンデム用ステップも普通に使えるので、スタンディングしてみたり足を後ろに引いてスポーツバイク感覚でも走れるなど、楽しみ方も自由だ。感心したのが出足の良さ。最高出力だけ見ると150ccクラス相当だが、試乗してみるとアクセルを開けた瞬間のトルクが凄い。ゼロ発進で100%のトルクが取り出せるEVならではの強みだ。当然ながらクラッチもギアチェンジもいらないから、操作は超簡単でシームレス。 急坂の多いリスボンの街を力強く駆け抜けた。ちなみに3つのモードはどれもピークパワーは同じで出力特性が異なっている。試乗中はほとんど標準モードの「フロー」で走っていたが、十分にトルクフルで同クラスのエンジンバイクに対しても互角以上の加速を見せつけてくれた。
────────── ス~っと走る波乗り感覚が気持ちいい ────────── ハンドリングも軽やかだ。最初は前後14インチの小径ホイールがリスポンの石畳や凸凹の激しい路面でどうなのか不安だったが、いざ走り出してみると倒立フォークは剛性感もしっかりでリアショックの動きもスムーズ。石畳の滑りやすい路面でもミシュランの CITY GRIPがふんわりとグリップしてくれた。ABSはフロントブレーキのみだが、一方でリアブレーキは意図的にロックさせて遊ぶこともできる。車体が軽くて低いのでブレーキターンなどのアクションも簡単に決められるのだ。また、低速バランスにも優れ、スロットルでの繊細な速度コントロールもしやすくUターンも楽々だった。 郊外の幹線道路では、「サーフ」モードをチョイス。回生がゼロになる設定でスロットルを戻しても慣性で滑らかに進む感覚はまさに波乗りのよう。エンジン車のような振動も熱も排気音もない静かな時間が流れていく。それはそれで気持ち良く、自然と風景を楽しむ余裕が生まれるのもEVの美点だと思う。 今回の試乗ではリスボンの市街地を1日かけて60kmほど走破したが、まだバッテリー残量は20%残っていて、走行可能距離も20kmと表示されていた。試乗中はストップ&ゴーを繰り返し、坂が多く路面もフラットとは言えない環境だったことを考えると悪くない数値だと思う。「CE 02」には走りの楽しさはもちろん、見た目や装備にも洗練されたBMWらしさが宿っていた。国内での発売が待ち遠しい。
ケニー佐川