韓国野党の李在明代表に有罪判決、大統領選で虚偽発言 次期大統領選の行方も左右
【ソウル=桜井紀雄】韓国の前回大統領選候補だった際、当選目的で虚偽の発言をしたとして、公職選挙法違反罪に問われた革新系最大野党「共に民主党」代表の李在明(イ・ジェミョン)被告(59)の判決公判で、ソウル中央地裁は15日、懲役1年、執行猶予2年(求刑懲役2年)の有罪を言い渡した。 ■判決が政局に大きな影響 李被告は、2022年の前回大統領選で尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領に僅差で敗れた。27年の次期大統領選でも革新系の最有力候補と目されるが、今回の刑が確定すれば、出馬できなくなる。今回の判決は、今後の政局に大きな影響を与えそうだ。 李被告は判決後、記者団に「事実認定から到底受け入れ難い結論」と述べ、控訴する方針を表明した。最高裁まで争うとみられる。22年9月の在宅起訴から1審判決まで2年以上かかっており、裁判の大幅な遅れが批判される中、次期大統領選までに判決が確定するのかが焦点となっている。 公選法上、懲役刑の執行猶予が確定すれば、国会議員を失職し、10年間、被選挙権が認められない。 李被告は今月25日にも偽証教唆事件の判決を控えている。そのほか、ソウル郊外、京畿道(キョンギド)城南(ソンナム)市の市長時代の都市開発事業に絡む不正事件や、訪朝費用を韓国企業に肩代わりさせて北朝鮮に不正送金させた事件でも公判を抱える。計4件の公判のうち、今回が最初の司法判断となった。 ■政治弾圧と反発も 李被告の一連の起訴について共に民主党や支持者らは「政治弾圧だ」と反発。事件を捜査した検事への弾劾訴追案を国会に提出したり、裁判長の弾劾を求める署名を集めたりするなど、妨害と圧力を加えてきた。今回の判決を受け、李被告への捜査を巡って深まってきた与野党や支持者間の対立も一層深刻化しそうだ。 李被告は京畿道知事で共に民主党の大統領選候補だった21年、道の国政監査で都市開発事業の不正疑惑と関連し、不正な土地の用途変更について「国土交通省が強要した」と虚偽の発言をしたとされる。地裁は発言を虚偽と認定し、「民意が歪曲されかねず、犯罪は相当重い」と指弾した。起訴内容にあった別の発言については無罪と判断した。 李被告は日本に関する強硬発言で知られ、日本との協力強化を目指す尹政権に対し、「対日屈辱外交」だと非難を繰り返してきた。党内の求心力を維持するため、支持層受けしやすい対日強硬姿勢を一層鮮明にしていく可能性もある。