ハワイの生態系は輸入品?大阪・咲くやこの花館で文化展
南国の楽園で固有植物の絶滅危機迫る?──大阪・咲くやこの花館「ハワイ・花と文化展」THE PAGE大阪
豊かな自然に恵まれた楽園のイメージが強いハワイで、固有種の植物たちが絶滅の危機に直面──ハワイの知られざる一面に焦点を当てた植物展「ハワイ・花と文化展」が、大阪市鶴見区の咲くやこの花館で開催されている。ハワイの生態系の仕組みや世界的観光地へ発展する過程など、植物と人々の暮らしぶりにスポットを当てた展示を楽しみながらハワイ通になれるチャンスだ。
すべて輸入品でできたハワイの生態系
ハワイの歴史は意外と浅い。日本列島が地殻変動を経て現在の姿に落ち着いたのは、今から1500万年前。一方、ハワイ諸島は火山噴火で43万年前にできたばかりだ。溶岩が冷えて固まった丸裸の島だった。植物も鳥も動物もいないゼロからのスタートで、ハワイの生態系はすべて輸入品でできているわけだ。 最初に活躍するのは、進化論のダーウィンが指摘した3W。風(Wind)、翼(Wing)、海水(Water)が移動手段となり、生き物や植物が海流や風に乗ったり、鳥に付着したりして、ハワイ諸島に辿り着く。厳しい環境に適応しながら独自の進化を遂げ、他地域には存在しないハワイ固有種に生まれ変わる。
「本当のハワイを知ってほしい」
次の変化は2000年ほど前で、ポリネシアンが新天地を求めてカヌーで到着。食用となるタロイモなどを持ち込んだ。穏やかな自給自足生活が長く続いたのち、200年ほど前に近代文明と遭遇。世界的観光地へ発展する途上で、多くの植物が持ち込まれ、南国の楽園にふさわしいイメージ作りに動員される。 ハワイの花らしい色鮮やかなアンスリュームは、南米が原産地だ。ハワイの植物は、持ち込まれた3つの時期によって、野生種、伝統種、外来種に分けられている。 「ハワイ・花と文化展」はハワイの成り立ちを辿りながら、植物と人々の暮らしぶりにスポットを当てる。久山敦館長は「日本人はハワイへ出掛けると、CMに出てくるハワイだけを見て満足して帰りがちだ。ハワイ観光を楽しむ一方で、本当のハワイを知ってほしいとの思いから企画した」と話す。