【社説】崖っぷちに追いやられる韓国の庶民・自営業者…いたるところで警告灯
韓国で自営業者をはじめとする庶民や脆弱階層が限界に直面している兆候がいたるところに現れている。物価高と高金利の持続、長期化する内需低迷のせいで、もはや持ちこたえられない人が増えている。 韓国銀行の資料によると、今年第2四半期の自営業者に対する貸付の残高は1060兆1000億ウォン(約117兆6600億円)。このうち、3社以上の金融会社から借金している多重債務の残高は753兆8000億ウォン(約83兆4600億円)。3年前に比べ27.8%の増加だ。特に2021年第2四半期には0.56%だった自営業者の多重債務者の延滞率は、今年第2四半期には1.85%と3倍以上になっている。廃業する自営業者の増加に伴って、就業者全体に占める自営業者の割合は今年、史上初めて20%を割る見通しだ。今年1~8月の月平均の自営業者数は563万6千人で、就業者全体(2854万4千人)の19.7%だった。 庶民のために銀行に返済を保証する機関である庶民金融振興院が肩代わりした返済(代位弁済)額は、今年1~8月に1兆ウォンを超えた(1兆551億ウォン)。信用スコアが最低の人を支援する商品である「ヘッサルローン15」の代位弁済額は3591億ウォンで、代位弁済率は25.3%にものぼった。2020年には5.5%だった同商品の代位弁済率は、昨年21.3%まで上昇していたが、今年はさらに高まったのだ。ヘッサルローンバンク、ヘッサルローンユース、信用スコアが最低の人に対する特例保証などのその他の商品の代位弁済率も、すべて過去最悪だった。これは、所得の減少などで借金の返済が難しくなった庶民が大きく増えていることを意味する。 小額生計費融資の延滞額と延滞率も急上昇していた。小額生計費融資は、信用スコアの低い人や低所得者に最大100万ウォンを年15.9%で貸し付ける一種の「緊急」窓口だ。小額生計費融資の延滞率は昨年末には11.7%だったが、8月末には26.9%にまで跳ね上がった。延滞額は同期間に109億ウォンから404億ウォンへと4倍近くにまで増加した。 政府は今月中に小商工人・自営業者対策を発表する予定だという。自営業者の転職・廃業支援、配達プラットフォーム共生策などと共に、積極的な債務再調整策が必要な時だ。11日には韓銀が政策金利を決める。このところ家計負債の増加と住居価格の上昇が多少足踏み状態なだけに、金利引き下げができる条件が整っているかどうかの判断が必要だと思われる。何よりも内需が回復してこそ庶民と自営業者は一息つける。政府は内需浮揚策にも最善を尽くすべきだ。 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )