【上白石萌音さんインタビュー】ネガティブな気持ちはとことん味わって今後の糧に
【Culture Navi】カルチャーナビ : 今月の人・今月の情報*ネガティブな気持ちはとことん味わって今後の糧に──上白石萌音さん
世界中の子どもたちから愛されている『ふしぎ駄菓子屋 銭天堂』シリーズが実写映画に。ふしぎな駄菓子を売る銭天堂の店主・紅子をライバル視する“たたりめ堂”の主人・よどみを演じるのは上白石萌音さん。自身初となる悪役に挑戦しました! 「ここまで振り切った悪役はやったことがないので挑戦しがいがありそうだと思ってお受けしました。またやってみたいと思った理由はもうひとつあって、ずっと憧れていた天海祐希さんの敵役だったから。ご一緒するのがひとつの目標だったので、この機会は逃せないなと」 上白石さん演じるよどみは、人の悪意集めに執着する恐ろしさを持ちながら、かわいらしさもある悪役。 「私から見たよどみはピュアな人。雰囲気はダークですが、自分がやりたいことをまっすぐにやっているんだと思うんです。現実離れした人物でも、挙動や発言には必ずそうする理由やそうしたい気持ちがあると思うので、今回のようなファンタジックな作品でも登場人物の心情を現実的に考えていくようにしています。よどみが持つ妬みや嫉(そね)み、うらやましいという気持ちは私の中にもあるものなので。そこを膨らませていきました」 目の前にいる上白石さんは、画面を通して受け取るイメージそのままのピュアな印象で、妬みや嫉みといった感情を持っているとは意外! どうやって自分の中のネガティブな気持ちを消化しているのでしょう。 「ネガティブな気持ち、たくさんありますよ~(笑)。嫉妬や人をうらやむ気持ちは自分の中で燃やしてエネルギーにしているかも。燃やす以外に“なんでうらやましいと思うんだろう?”“どうしてこんなにモヤモヤするんだろう?”と、自分の気持ちをひたすら分析することも。ネガティブな気持ちもいずれ自分の糧になって、仕事で役立つので。味わい尽くそうと思っています」 俳優としての幅広い活躍のみならず、アーティストとして楽曲リリース、エッセイ等の執筆も。どんな子ども時代を過ごすとこんな多才な人物になるのか気になります。 「親からは“よく考えなさい”とずっと言われて育ちました。私はいろんなことに興味を持つ子どもだったのですが、やりたいことはできる限りやらせてくれましたし、好奇心を満たしつつ、新たな興味が広がるよういろいろな場所に連れていってもらいました」 小学生の頃、親御さんの仕事の関係でメキシコで生活した経験も。そのときのことも記憶に残っている。 「メキシコのピラミッドに連れていってもらったときに、どういう場所なのか、何がすごいのかを父が行く前にも、現地でも丁寧に説明してくれたんです。子どもからすると、遺跡ってなんだかよくわからないものだと思うのですが、楽しかった記憶しかなくて。わくわくさせるのがうまい親だと思います」 そんな興味関心の広がりが、現在の上白石さんの活躍につながっているのだと納得。それぞれの活動は化学反応のように互いに影響も。 「お芝居で演じた心情やシーンは歌うときに呼び起こされますし、自分が書く側として生みの苦しみを経験すると、渡されるセリフや歌詞を大事にしたい気持ちに。よどみ役を演じて発見したことも、どこかで生かされていくと思います」