杉並・母子死亡事故、元自動車整備士に禁錮3年 実刑背景に「保険未加入」整備事業者の“安全意識”問われる
保険未加入の場合、賠償金の支払いはどうなる?
今回のように自動車整備工場が保険に加入しておらず、事故を起こした車が顧客の持ち物でその保険も適用できない場合、被害者への賠償金はどこから捻出するのだろうか。 青沼弁護士によれば、損害賠償の具体的な金額を計算し、被告人(被用者)または雇用主(使用者)に請求することになるという。 「まず被告人(被用者)に請求する場合、損害賠償の金額が高額であり、本人の支払能力から一括で支払えないケースが多くみられます。そのような場合には分割での支払いも検討することになるでしょう。 他方、前述のように民法715条第1項の要件を満たして雇用主(使用者)に請求したとしても、支払われない可能性もあります。その場合は、訴訟手続において勝訴判決を得た上で強制執行することも考えられますが、実際には訴訟手続の中で、被害者と雇用主(使用者)との間で和解したうえで、一括または分割で支払ってもらうケースの方が多いように思われます。 したがって、被告人(被用者)または雇用主(使用者)の支払能力、支払意思、損害賠償額の多寡等によって、回収可能性はまったく異なるということになります」(青沼弁護士)
弁護士JP編集部