アントニオ猪木のひと言で柴田惣一は「千のネクタイを持つ男」に 棚橋弘至との縁も
――昔から柴田さんには、自らもネタにしている"カツラ疑惑"がありますからね。 柴田:それこそ、カール・アンダーソンに髪の毛を引っ張られたことがあるんですよ。その時は録画中継で、たまたま放送が一部地域に限られたからホッとした記憶があります(笑)。 ――現在はWWEで活躍するアンダーソン。けっこうひどいことをするんですね(笑)。 柴田:あとは"ジ・アンダー・ボス"ことバッドラック・ファレ。場外乱闘中に、いきなり怒りの矛先が僕に向いて襲われたんです。目がギンギンで、解説歴が長いとはいえ怖かった......。 でも、その襲撃直後にヤングライオンたちが僕の周りを取り囲んでくれて。マスクをはがされた覆面レスラーみたいな気分でしたよ。周囲の目から守ってくれているうちに、ササッと髪型を整えて九死に一生を得ました。 ――その時のヤングライオンは? 柴田:高橋ヒロムや現在のイービル(旧リングネームは渡辺高章)、エル・デスペラードたちだったかな。ファレがあの巨体で襲ってきてビビってしまい、解説席で動けなくなってしまった僕を、身を挺して守ってくれました。ふと我に返ると、しゃがみこんだ僕をみんなが心配そうに見つめていました。 ――選手との信頼関係がわかるエピソードですね。 柴田:ネクタイの話に戻りますけど、その業界の方は「ネクタイはコミュニケーションツール」と言うんです。スーツだとVゾーンに目が行くから、ネクタイの色や柄が話のとっかかりになると。それで、個人輸入で海外から取り寄せたりもしながらネクタイを集めて、それが話題になってプロレス界や他業種の方との人脈も広がった。人の輪、ならぬ"ネクタイの輪"かな。 【棚橋のベストネクタイ賞の裏にも柴田あり】 ――そういえば、2023年12月から新日本の社長を務める棚橋弘至選手は、2016年にベストファーザー賞と同時にベストネクタイ賞も受賞しましたね。 柴田:実は、僕はあれにも関わっているんですよ。僕の"面白ネクタイ"を作っているネクタイデザイナーの方にその会社の社長さんを紹介してもらい、社長さんを通してネクタイ組合の会長さんと知り合いになって。それで何度かお会いするなかで、「棚橋をベストネクタイ賞に」と推薦したんです。そのあと、棚橋とネクタイ組合の方々を日本武道館近くのホテルで引き合わせて、食事もしましたよ。