【函館2歳S回顧】心身ともに規格外のサトノカルナバル 前走と真逆の適性差を埋めた対応力
強気に進め、粘りをいかせたニシノラヴァンダ
2着ニシノラヴァンダは開催2週目の芝1200mを1:09.3で逃げ切った。牡馬相手に前後半600m34.1-35.2で乗り切ったスピードと粘りが身上。函館2歳Sも上記の通りほぼ同じラップ構成に単騎で持ち込めたことが好走につながった。開催後半でもスピードが出る馬場を味方につけており、今後もスピード勝負で楽しめそうだ。安田記念を勝った父サトノアラジンは現役時代、1400mのGⅡ2勝と速い時計への対応力があった。今年が4世代目だが、産駒は7月7日までの通算で1600m3勝、勝率2.6%、1400m15勝、勝率9.6%、1200m20勝、勝率8.8%と総じて短い距離に強い。母系にはサンタアニタダービーを制したシドニーズキャンディがいる。米国血統特有のハイペースに強い粘りもポイントで、今後も自分のリズムで厳しい流れを演出し、血統が持つ粘り強さを生かしてほしい。 3着エンドレスサマーは新馬では逃げて前後半600m34.8-34.6。今回はさらに厳しい流れのなか、2番手に収まった。ペースへの戸惑いも抑え、ニシノラヴァンダのペースに乗るという課題はクリアできた印象。結果は残せなかったが、この経験はいかにも次につながりそうだ。母コケレールの系統は決して早期速攻型ではなく、この時点で完成度の高い走りからは、兄弟の上をいける可能性を感じる。父アルアインは皐月賞まで【4-0-0-1】と崩れず、その後は5歳の大阪杯でGⅠ・2勝目をあげており、息長く活躍した。エンドレスサマーの成長力は血統面があと押ししてくれる。 ライタープロフィール 勝木 淳 競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースエキスパートを務める。『キタサンブラック伝説 王道を駆け抜けたみんなの愛馬』(星海社新書)に寄稿。
勝木 淳