久光製薬が3連覇 ── バレー全日本女子
久光らしさが戻った優勝
本来の力を取り戻した久光は止まらない。準決勝のNEC戦では第1セット序盤に9連続ポイントするなどで勝負の流れを引き寄せ、中田監督から「きょうは優希でいく。代えはいないからしっかり」と言われた石井が20得点(アタック決定率54.1%)、新鍋もサーブレシーブ成功率76.9%と攻守で牽引。決勝でも、思い一つに練習や時間を共にしてきた“最強メンバー”で臨み、高い集中力で日立に1セットも与えず勝利した。最後も新鍋がブロックで決めるなど、サーブで崩しブロックでしとめる、久光の本来の姿、らしさが戻った優勝だった。 「(3連覇は)嬉しいです。日立にはリーグの1LEGで負けていたので、なんとしても勝ちたかった」と再び宙に舞った中田監督。 思えば2012年、中田久美新監督のもと、皇后杯で3年ぶりの優勝を果たしたのが、“勝ち続ける久光“へのスタートとなった。中田監督にとっては就任後初の大きなタイトル、V・プレミアリーグ優勝から遠ざかっていた選手たちにとっても久しぶりに味わう頂点、勝てたことが大きな自信となり、そこから「日本一」「アジア一」そして「世界でも勝てる久光」へと本格的に走り出した。 皇后杯を初めて制した後、2012/13 V・プレミアリーグで6年ぶりに優勝、黒鷲旗も6年ぶりに制し3冠を達成。昨シーズンも皇后杯連覇、2013/14 V・プレミアリーグ連覇と勝ちを続けた。もはや勢いは日本に留まらず、初出場したアジアクラブ選手権でも優勝、アジアの女王クラブとなった。
「チームがもっと家族になれたら怖いものなし」
今季は、V・プレミアリーグも3連覇がかかっている。V・プレミアリーグは年内の試合は終了したが、来年1月10日、11日の大阪大会(大阪市浪速区・ボディメーカーコロシアム)から戦いが再開。その翌週は久光のホームゲーム(17日・姫路市中央体育館、18日・グリーンアリーナ神戸)だ。1LEG終了時の成績は岡山に次いで2位。ホームで連勝し連覇へ勢いづきたいところ。 「みんなうちを倒しにくる。何の試合でも連覇がかかるからきつい、それでも勝たなきゃいけない。誰か一人が軸というのではなく、どのメンバーが入ってもみんなが軸になって、長岡も引っ張る、新鍋も引っ張る、石井も引っ張る、そうなっていきたい」と中田監督。「久光というチームがもっともっと家族になれたら怖いものなし。助け合いながらチームを固めていきたい」と石井、「まだVリーグもあるし、世界クラブ(選手権)に向けて、チーム全員で挑戦していきたい。無限大の可能性があるし、久光はもっと進化できる」と長岡も語気を強める。 自立し、監督らが言わずとも、勝つために何をすべきか、試合にはどんな準備で臨めばいいかを自ら考え、行動に移すようになった選手たち。 今季の一番の目標である「世界クラブ選手権の表彰台」へ向け、女王は進化を続ける。