國村隼が語る『芋たこなんきん』と「朝ドラ」の魅力、韓国・アメリカの映画作りの現場での挑戦
「それぞれ作品によって求められる言語のレベルがあって…なんとかしようと頑張っているところです」
――豊富な経験・キャリアを持つ國村さんですが、苦手なものや怖いものはありますか。 國村 1番はやっぱり言葉の問題ですかね。例えば英語のセリフを喋ると、自分のネイティブの言葉ではないので、セリフで表現するわけではなくとも、なぜ今自分がこういう状態にあるのかという説明が論理として自然に入ってこない。だから、逆に言うと意識的に伝えなきゃいけない。 伝えるためのツールとしての言語を、自分のネイティブではない言葉で表現しなくちゃいけないという壁はやっぱりかなり厚くて。つい先日も配信系の海外ドラマをやったんですが、その前に映画『MINAMATA』をやっていて。 配信系ドラマでは、僕の『MINAMATA』の英語スキルではダメ、次のステージに行かなければその現場では成立しないと要求されるんですね。 それは結果的にはスキルアップにつながる良いことなんですけど、それぞれ作品によって求められる言語のレベルがあって、あらゆるレベルをちゃんとこなせないと難しいという現実に、ぶつかり、その時々の作品でなんとかしようと頑張るわけです。 ――普通の英会話の勉強などと、お芝居で英語を使うための勉強は違うわけですね。 國村 やっぱりネイティブじゃないから、芝居で使うとき、英語も韓国語もセリフを自分の中で微妙なニュアンスにアレンジするのが難しいんですね。 パフォーマンスは感じなければいけないのに、発音に意識がいってしまったり、感じることがなおざりになってしまうのはどうしようもないので。単なる言葉だけじゃない、肝が入ったお芝居をしなければいけないんですから。当然、それを英語のネイティブスピーカーがお客さんとして観るわけで。ベースとしての英語スキルを持たないと自分が現場でええかげんに自由に遊ばれへんわけですよ。 ――若手に教える、導いていく立場だと勝手に思っていましたが、まだ挑戦中なのですね。 國村 いやいや、僕はまだ発展途上人(笑)。今もこうして壁にぶつかりながら、挑戦中なんです。 取材・文:田幸和歌子 1973年生まれ。出版社、広告制作会社勤務を経てフリーランスのライターに。週刊誌・月刊誌等で俳優などのインタビューを手掛けるほか、ドラマに関するコラムを様々な媒体で執筆中。主な著書に、『大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた』(太田出版)など。
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