元宝塚トップ・朝夏まなと「青春していました」仲間と夢を語り……在団時代を振り返る――セリから落ちるハプニングも
元宝塚歌劇団・宙組トップスターの朝夏まなとさん。2017年の退団後も数々の舞台で主演を務める。改めて宝塚自体を振り返ってもらうと、ターニングポイントになった作品として『翼ある人びと』と『エリザベート』をあげた。宙組時代の仲間、愛月ひかるさんからのメッセージも…。日本テレビ屈指の宝塚ファン、安藤翔(妻が元タカラジェンヌ)が聞いた。 【映像】朝夏まなと、芝居は面白い~その時に感じたもので……(『アプレジェンヌ』#21 ダイジェスト版) <朝夏まなとさんプロフィール> 佐賀県出身。9月15日生まれ。2002年に88期生として入団。花組を経て2015年、宙組トップスターに就任。172センチの長身から繰り出すダイナミックなダンスや伸びやかな歌声でファンを魅了。2017年の退団後は数々の舞台で主演を務める。
■ターニングポイントの2作品
――花組と宙組で16年にわたり活躍されましたが、ターニングポイントになった作品は? それぞれに思い入れはあるのですが、『翼ある人びと』と『エリザベート』ですかね。『翼ある人びと』は自分の中でお芝居にすごく向き合った作品なんです。それまでは結構、背伸びをする役が多かったんです。大人っぽい役が多く、自分とかけ離れすぎていて演じていて実感が湧くということが少なかった。 この作品でヨハネス・ブラームスという役に出会ったときに、自分の内面から思いがあふれてきた経験は衝撃的でした。もちろん上田久美子先生の繊細な演出と脚本がありきなんですけれども、その後の自分のお芝居に対する向き合い方は全く変わりました。ひたすら芝居って楽しいなと思えた作品ですね。
――『エリザベート』には2度、出演されています。 最初は花組で、(トップが)春野寿美礼さんの時に初めてセリフをいただきました。ミルクのシーンで「病人がいるんだ」と。その当時は今思うと何も考えてなくて。エリザベートという作品のすごさも分かっていなかった そこから(宙組の)トップになってまたこの作品に出会えた時に「こんなに深い作品だったんだ」と改めて思いました。歴代たくさんのトート役の方がいて皆さん違う個性がある。「自分のトートって何だろう?」と向き合った作品でもありました。 ちょうどこの公演の時に「もう卒業しようかな」と決めたのかな。(決めた瞬間は)記憶が定かではないけれど、(退団を決める時に)「鐘が鳴る」とよく言うじゃないですか。それはなかったです。「これを乗り越えたら宝塚を満喫できたのかな」と。 やはり大作なので、もちろん自分のこともそうですけど組全体として、作品にみんなが向き合っている姿勢、そこから成長していく過程を見ていて、頼もしいなと思えたんですね。