元宝塚トップ・朝夏まなと「青春していました」仲間と夢を語り……在団時代を振り返る――セリから落ちるハプニングも
■セリから落ちた!?
――舞台立っている時のハプニングなどはありますか。 退団公演だった『神々の土地』と『クラシカル ビジュー』の両方でハプニングが同じ日にあったんです。 『神々の土地』では男役が大階段に板ついて幕が上がっていくシーンで、幕が大階段の端っこに引っかかったのか、上がらなくて。止まったんですね。男役は後ろの階段にずらっと板ついているので『どうする?』みたいな緊張感があって。 私はもうどうしようもできないので、とりあえず直立して目の前をじっと見据えて『みんな動かなくて大丈夫』というオーラを出しながら。こういうときにどうしたら一番いいのかと頭がぐるぐると回転していたところ、緞帳が降りてきて、そこからまた立て直していったということがありました。 ――同じ日に『クラシカル ビジュー』でもハプニングがあったと。 そうなんです。なんでそうなったのか自分でもわからないんですけど、セリから落ちてしまって。中詰めの金の衣装を着ている時だったんですけど、足をバっと後ろに引いた時にあるはずのセリがない。気づいたら横に床に寝ている形になっていました。でも曲は流れているし、若干悲鳴みたいな声も聞こえる。 どうしようと思っていたんですけど、もう本能的にセリをよじ登って前に出て踊っていました。落ちた経験はその一回だけですね。びっくりしました。踊っている間に右肩がすごく痛くなってきて、『あ、やっぱり落ちたんだ』と。 本当に(落ちた)自覚がなくて。ちゃんと初心を忘れずにやらないとなと改めて思いましたね。慣れちゃいけない。
■愛月ひかるさんからのコメントも
――朝夏さんをよく知る(元宙組の)愛月ひかるさんに聞きました。 >>>>> (朝夏さんの魅力は?)ダンス、歌、芝居、すべてが素敵なのですが、特にお芝居をしている時の雰囲気が大好きです。 (今だから話せる朝夏さんとの裏話は?)宙組で一緒だった時、ご飯をご一緒させていただいたり、我が家に来てお鍋をしたり。お互いに好きなお酒を飲みながら色々お話をさせていただき ました。 <<<<< うれしいです。愛ちゃん(愛月さん)もお芝居がすごく好きな子だし。芝居って正解がない分、本当に好みだなと思っていて。それを特に一緒にやっていた人からそう言ってもらえるのは 無条件にうれしいなと思いました。 最後は『神々の土地』をやった時に、ラスプーチンの役が愛ちゃんでした。私は芝居についてディスカッションをそんなにしない方なんです。お互い持ってきたものを稽古で出し合って、というタイプ。愛ちゃんもそのタイプで、ほとんどラスプーチンとの芝居は何のディスカッションもしてないのに、あれだけの濃いシーン、2人だけの立ち回り(ができる)。 (立ち回りは)毎回、本気で来るので。毎回こっちも本気で行くというようなことをやっていましたね。言葉がない、一番究極の芝居というか、そういうやりとりは愛ちゃんだったからできたことなんだなと今でも思います。普段、ほんわかして可愛い子なのに、あそこまで豹変できるというのは、お互い芝居が好きだから。愛ちゃんは、役者同士がぶつけ合うということ持っている子だったので、やっていて楽しかったですね。 愛ちゃんともよく一緒にお酒を飲んでいました。やっぱり男役として、という話が多かったかもしれないですね。今後どうやっていきたいかとか、どうなりたいとか、夢を語る場でもあったかなと思います。熱いですね。青春していましたね。