西野ジャパンはなぜボランチを7人も招集したのか。見えてきたW杯戦術とは
ワールドカップ・ロシア大会の壮行試合となる、30日のガーナ代表戦(日産スタジアム)に臨む日本代表メンバー27人が18日、日本サッカー協会(JFA)から発表された。都内のホテルでJFAの田嶋幸三会長、技術委員会の関塚隆委員長とともに西野朗新監督が会見に臨んだ。 14日に国際サッカー連盟(FIFA)へ提出された、35人のワールドカップ予備登録メンバーから絞り込まれたもので、ヴァイッド・ハリルホジッチ前監督の電撃解任を受けて、4月に就任した西野新監督のもとで選ばれた初めてのメンバーとなる。 今後はガーナ戦から一夜明けた31日に、ロシア大会に臨む23人の最終代表メンバーが発表されるが、原則として、今回の27人がベースとされる。 27人の顔ぶれを見ると初招集はゼロ。ハリルジャパンで出場機会を大きく減少させていたMF本田圭佑(パチューカ)、FW岡崎慎司(レスター・シティ)、MF香川真司(ボルシア・ドルトムント)がそろって名前を連ねたなかで、サプライズとなったのがMF青山敏弘(サンフレッチェ広島)の復帰だ。 前回のブラジル大会でもプレーしている32歳のベテランは、ハリルホジッチ前監督が初采配をふるった2015年3月以来、実に約3年2ヵ月ぶりの選出となる。その理由を問われた指揮官は、J1の首位を独走するサンフレッチェの原動力となっている点をあげた。 「いまのチーム事情を彼が作っている、と言っても言い過ぎではないと思います。少し(代表から)遠ざかっていますけど、過去の実績と経験値、プラスして現状のトップパフォーマンスを評価しました。できることなら、最終的に代表チームにも力を貸してほしいと思っています」 ロシア行きへ“当確”が灯った感もある青山はサンフレッチェのボランチとして、群を抜く運動量の多さで中盤を支配しながら攻撃陣へ的確なパスを供給している。一方で、招集されたメンバーの顔ぶれを見れば、ボランチでプレーできる選手が青山を含めて7人を数える。 引き続きキャプテンを務めることが確実な長谷部誠(アイントラハト・フランクフルト)を筆頭に山口蛍(セレッソ大阪)、柴崎岳(ヘタフェ)、大島僚太(川崎フロンターレ)、三竿健斗(鹿島アントラーズ)、井手口陽介(クルトゥラル・レオネサ)に加えて、DFで招集された遠藤航も浦和レッズやリオデジャネイロ五輪ではボランチとしてプレーしている。 ひとつのポジション2人が招集の基本だったハリルジャパン時代からの大きな違いだが、この変化は何を意味するのか。そして、この27人の顔ぶれから見えてくる西野ジャパンの戦術とは何か? おそらく西野監督はロシア大会用の対策として3バックの導入を視野に入れている。 その場合はフランクフルトで3バックの中央としてプレーし、来シーズンから強豪バイエルン・ミュンヘンを率いることが決まっているニコ・コヴァチ監督から、高い評価を得ている長谷部がポジションを一列下げることになる。ゆえにボランチが多めに招集されたわけだ。