その名の通り３ドア・リトラの特徴となるリトラクタブルヘッドライト。スポーツパッケージはフォグランプが標準となる

【トヨタ カローラⅡ ３ドア リトラ 1500 SR スポーツパッケージ（EL31）】オープニングからわずか3分足らず、さっそく見せ場がやってくる 【画像18枚】「わたスキ」ファンが手に入れたリトラのカローラⅡ。後期はグリル部分のウインカーがサイドに回り込み、フォグ＆スモールランプがグリル部に移動。また「COROLLAⅡ」のエンブレムが中央に配置され、文字が大きくなる ガレージでスタッドレスタイヤに履き替え、ルーフキャリアにスキー板を積んで準備は万端。エンジンスタートで勇ましいサウンドを響かせるとともに流れるユーミンの「サーフ天国、スキー天国」。そして、ライトオンで立ち上がるリトラクタブルヘッドライトを輝かせて走り出す……。1987年に公開され社会現象を巻き起こした名作映画「私をスキーに連れてって」で主人公・矢野文男（三上博史）の愛車として登場したのが、2代目カローラⅡに設定された3ドアのリトラGPターボだった。このオープニングだけでカローラⅡに乗りたいと思った世の男性陣がどれだけいたことか。 2代目カローラⅡは、兄弟車のターセル/コルサとともに86年5月にデビューし、主力エンジンをE型に刷新。84年にFF化したスターレット用のプラットフォームを使用したことで、エンジンは初代の縦置きから横置きとなり、ホイールベースは50㎜短縮された。特徴的なのはラインナップで、3ドアと5ドアの2つが基本だが、3ドアにのみ特別なスポーティーモデルを設定。それがリトラクタブルヘッドライト仕様の「3ドア・リトラ」だ。 カローラⅡを探していたオーナー。カローラⅡとは意外な縁があった？！ 3ドア・リトラは、デビュー当初はリトラSRのみのラインナップだったが、同年9月に1.5ℓSOHCターボの3E‐TE型エンジンを搭載するリトラGPターボを追加した。このエンジンはデュアルインテーク方式、空冷式インタークーラー、2モードターボシステムなどを採用することで、最高出力110psという高性能を誇りながらも低燃費を実現。しかもGPターボには電子制御サスペンション「TEMS」がオプション設定され、「流星ライナー」のキャッチコピーのごとく、輝く走りを見せた。このモデルこそが矢野の愛車である。 劇中での見せ場パート2は、物語の重要な場面。矢野は志賀高原から5時間以上をかけて思いを寄せる女性、池上優（原田知世）がいる万座へ向かう。「A HAPPY NEW YEAR」のスローなメロディーに乗せて降りしきる雪の中を疾走するリトラGPターボ。そして出会った2人はお互いの気持ちを確かめるのだった。その時に見せた優の笑顔はまさに天使のようで、その可愛さは反則ものだった。 さて、大ヒットした「わたスキ」は公開から30年が経過した今でもファンが多い。この個体のオーナーもそのひとりで、長年に渡ってカローラⅡリトラを探していた。その願いが叶ったのが昨年で、ワンオーナーで走行距離2万5000㎞、フルノーマルという個体が見つかった。「なかなか希望どおりの個体がありませんでしたが、千葉県でこのクルマが販売されていて、即決でした。映画に出てくるグレード、ボディカラーとは違いますが、コンディションを優先しました」とオーナー。だが、この白いリトラのカローラⅡはオーナーと深い縁があった。「じつは私が2歳の頃、この個体とまったく同じ仕様のクルマに両親が乗っていたんです。購入後にその記憶がよみがえりました」という。 ちなみに、この世代のカローラⅡのCMキャラクターは、シリーズを通じて原田知世が起用された。CMに映画に、原田知世とカローラⅡは密接に結びついていたのだった。 SPECIFICATIONS　主要諸元 トヨタ カローラⅡ 3ドア リトラ 1500 SR スポーツパッケージ（EL31） 全長×全幅×全高（㎜） 3865×1625×1370 ホイールベース（㎜） 2380 トレッド前/後（㎜） 1385/1355 車両重量（㎏） 850 エンジン型式 3E エンジン種類 直列4気筒SOHC 総排気量（cc） 1456 ボア×ストローク（㎜） 73.0×87.0 圧縮比 9.3：1 最高出力（ps/rpm） 79/6000 最大トルク（㎏-m/rpm） 12.0/4000 変速比 1速3.545/2速1.904/3速1.310/4速0.969/5速0.815/後退3.250 最終減速比 3.722 ステアリング ラック＆ピニオン サスペンション前/後 ストラット/トレーリングツイストビーム ブレーキ前/後 ディスク/リーディングトレーリング タイヤ前後 175/60R14（前後とも） 発売当時価格 119.9万円