「わけがわからん。なんのために岡田は阪神を優勝させたんだ」阪神の岡田監督の“続投要請無き“退任決定に球界大御所が疑問を呈する「再登板せよ」のエールも
トップダウンで岡田監督が次期監督として推薦されて阪神も受け入れた。阪急が主導権を握って強行された監督人事は、優勝&日本一という形で実を結んだ。しかし、角CEOは、今夏頃から「私たちが口を出すのはこの2年まで。次の監督人事は阪神電鉄と球団が決めること」という姿勢を明らかにするようになった。 岡田監督の契約は2年。3年目以降の監督人事を阪神に一任したのだ。 主導権を取り戻した阪神は「阪急さんに押し付けられた人」である岡田監督の契約満了に伴い、その契約の更新は行わず、「意中の人」だった藤川氏の監督抜擢を決めた。広岡氏が指摘したように「勝てる監督は誰だ」という議論など、どこかに放り出して社内の主導権争いという極めて政治的な理由での監督交代である。 岡田監督は「長くやるつもりはない」と就任時に語っていたが、次期監督候補の育成には手をつけられなかった。 「理想は、岡田に次の監督を育ててもらうことだっただろう。あくまでも契約満了を盾にとるのなら、平田ヘッドに監督を任せ、その間に次の監督に指導者としての経験を積ませればよかった。次の監督候補は、藤川らしいが、指導者経験もなく、しかも私が監督としての適性に欠くと考える元投手。若い藤川が次の指導者を育てることは無理だ。また数年後に同じようなことが起きるぞ」 阪神は、故・久万俊二郎オーナーの時代に、中村勝広、そして岡田監督にも2軍監督を経験させるなど監督候補に英才教育を施してきた。矢野監督も2軍監督から昇格した。今季優勝した巨人の阿部慎之助監督、ソフトバンクの小久保裕紀監督、そして、6日の楽天との最終戦後に電撃辞任したオリックスの中嶋聡監督も2軍監督を経て監督に就任している。2連覇を果たしているヤクルトの高津臣吾監督、横浜DeNAの三浦大輔監督も同じく2軍監督経験者だ。その監督就任プロセスが、球界のトレンドになっているが、今回、阪神はその手順を踏まなかった。次期監督就任が決定的となっている藤川氏にコーチ経験はない。 岡田監督は、今後フロント入りして、藤川体制を支えていくことになるが、広岡氏は、早大野球部の後輩に、こんなエールを送る。 「岡田にはもう一度3度目の監督として再登板をしてもらいたい。70歳の監督なんて珍しくない。まだまだ体力的にできるだろう。私を見てみろ。もう92歳だが、達者だ。もし岡田が再登板すれば、ある意味、球界にとっても阪神にとっても革命的な出来事になる。革命を起こせ!と言いたい」 日本のプロ野球で、過去の最年長監督は阪神でも監督を務めた野村克也氏の74歳。70歳で楽天監督に就任して4年間指揮をとった。また岡田監督のオリックス時代の恩師でもある仰木彬氏、中日の高木守道氏も70歳を超えて監督を務めている。 (文責・駒沢悟/スポーツライター)