<相談>妻のモラハラから解放されたいのに離婚に応じてもらえない 娘にまで無視され…そんな状況から抜け出せない「5つの理由」
多くの人々の「別れ」に寄り添ってきた玉置妙憂さん。看護師、僧侶、スピリチュアルケア師、ケアマネージャー、看護教員として培った深い洞察力で、今回は、妻も経済的DVやモラハラに苦悩する40代の男性の心の内に迫ります。 【写真】理想の芸能人夫婦といえば…?
【相談】妻の態度を真似て娘からも無視される…
結婚当初から妻のモラハラが続いており、2~3年前から離婚を考えていますが、妻が応じてくれず困っています。「これ以上一緒にはやっていけない」と何度も離婚を頼んでいますが、「頭がおかしい」と言われ、話が全く進みません。 妻はパートで働いているものの、生活費はすべて私が負担しています。それにもかかわらず、財布は妻が管理しており、私が自由に使えるお金はほとんどありません。妻は平日に娘と二人でテーマパークに出かけたり、相談もなく娘に高額な習い事を始めさせたりしており、私をATMのように扱っていると感じます。 さらに、妻は娘を自分の味方につけ、私との接触をなるべく避けさせています。娘も妻の態度を見て、時々私を無視するようになってしまいました。 現在、家ではほとんど会話がなく、妻が何を考えているのかも分かりません。妻から私への愛情がないことは理解していますが、経済的な理由から離婚を拒否しているのだと思います。 法的な手続きをとってこの状況から解放されたいと考えていますが、娘に会えなくなることを恐れ、強い態度を取れずにいます。 (40代 男性)
【玉置さんの回答】5つの理由から見える 囚われの正体
う~ん。たとえば、目の前に凶悪な化け物が出てきて「このままでは喰われるっ!」という状況になったとしましょう。どんな行動をとるか…と考えると、まあ、まずは咄嗟に逃げますよね。 これは、理屈ではなく本能です。己に降りかかる災難から、人は本能的に身を守る行動をとるようにできています。その本能的な危機管理の法則を抑え込んでまで、そこに居続けるとしたら、いくつか理由がありそうです。 ①実は凶悪な化け物に心を奪われている。「愛」ですね。たとえ喰われようともそばに続けたいと思うほど愛しているというわけです。 ②凶悪な化け物がいつか改心してくれることを願っている。「期待」ですね。きっといつの日か、優しい天使に変わることをどこかで信じているのです。 ③凶悪な化け物だけど一緒にいるメリットがある。要は、自分にとっての「利益」があるわけです。得があるから、多少喰われても(?)我慢しようということです。 ④凶悪な化け物に心理的にコントロールされてしまっている。まあいわば「洗脳」。自分でも気づかないうちに、自分の力ではもうどうにもできないと思わされてしまっているわけ。 ⑤凶悪な化け物から逃げなくちゃと思い続ける状態に、アイデンティティを得てしまっている。ねじれた「安定」です。喰われるのは嫌だと思っている自分でいることが実は心地よいという状況です。 まだまだありそうですが、とりあえずはこのへんにしておきましょうか。 さて、どうでしょうね。いや、あなたの妻を「凶悪な化け物」だと言っているわけではありませんよ。たとえの話です。2~3年前から離婚を考え、何度も頼む(ここがすでに「?」となりますけど)ほど危機的状況に陥っているのに、まだそこに居続ける理由は、どこにありそうですか。 「娘に会えなくなる」というのは、ご自分を含めて周りを、有無を言わさず納得させられる立派な理由ですけれど、いや、もちろんそれもあるのでしょうけれど、誤魔化さないようにしたいですね。 だって、娘さんとの関係、今、すでに妻の采配でままならなくなっているのでしょう?そんな状況下で、このまま婚姻関係を続けることが、娘さんとの関係を良好にすることに有益なのかはなはだ疑問です。むしろ、元凶を排除して、娘さんと1対1で向き合う環境をつくるよう努力された方が、よっぽど得策のような気がします。 ご相談を拝読する限り、最初から最後まで「妻が~」「娘が~」と矢印が外に向いていますよね。一回全部たたんで、その矢印、自分の方に向けてみてください。そして、自分の心の中に何があるのか、とくと見るのです。 上っ面なところだけ見ていてはだめですよ。その下に何があるのか。さらにその下に何があるのかと、自分自身の心の奥深くに潜っていくのです。潜って、潜っていったところに、一粒の何かを見つけられたら、それだけで、きっと状況は「ぱん!」っと、瞬く間にするする変わります。 え?信じられないって?ほら、そこ。なんで、同じ状況で居続けようとしているのですか。とにかく、まずは、やってみてください。それでダメだったら、次の方法を試せばよいだけなんですから。 ◆玉置妙憂(たまおき・みょうゆう)/看護師。僧侶。二児の母。専修大学法学部卒業後、法律事務所で働く。長男が重度のアレルギーがあることがわかり、「息子専属の看護師になろう」と決意し、看護学校で学ぶ。看護師、看護教員の免許を取得。夫のがんが再発。夫は、「がんを積極的に治療しない」方針をかため、自宅での介護生活をスタートする。延命治療を望まなかったため、自宅で夫を看取るが、この際にどうしても、科学だけでは解決できない問題があることに気づく。夫の“自然死”という死にざまがあまりに美しかったことから開眼し出家。高野山にて修行をつみ高野山真言宗僧侶となる。その後、現役の看護師としてクリニックに勤めるかたわら、患者本人、家族、医療と介護に携わる方々の橋渡しとして、人の心を穏やかにするべく、スピリチュアルケアの活動を続ける。訪問スピリチュアルケアを通して、患者のQOL(クオリティ・オブ・ライフ)とQOD(クオリティ・オブ・デス)の向上に努める。非営利一般社団法人「大慈学苑」をつくり、代表を務める。課題解決型マッチングメディア「リコ活」でコラムを執筆。 (まいどなニュース/リコ活)
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