「世界を自動化」多国籍エンジニア組織が挑む未来:小島舞子
9月25日発売のForbes JAPAN11月号では、テクノロジー領域で世界を変えるべく躍進する女性、ジェンダーマイノリティたち30人に光を当てた「Women In Tech 30」を発表した。2024年にはじめて開催し、23人のアドバイザリーボードに協力いただきながら開催した。 「優れたプロダクトをつくり、世界中の多くの人に広げるために」──。 小島舞子がクラフターを創業した2016年9月、その初日から志向していたのが「グローバル」だ。創業初期メンバーは、自身もエンジニアである代表取締役の小島と現CTOのフェイ・ヤン、現フルスタックエンジニアのマイケル・スタックの3人だ。マイケルはスタートアップ関連のエンジニア向けの海外人材プラットフォームを活用して採用。 多国籍、フルリモートで始まった会社は22年7月、マネックスグループにM&A(合併・売却)した後も、組織のあり方は変わらない。テクノロジーに境界はないと海外中心の優秀なエンジニア組織を構成している。「7カ国のメンバーが在籍し、フルリモート推奨のまま。エンジニアに関しては私以外の日本人はひとりもいません。経営経験やCTO経験をもつメンバーが多い、多国籍なチーム。エンジニア採用に困ったことはありません」(小島)。 こうした考えの背景には、小島が学生起業し、副社長兼CTOを務めていた会社での実体験がある。当時、iPhone4Sが発売されたタイミングだったこともあり、数十のウェブ・アプリを開発。そのうちのひとつが世界中で反響があった。イスラエルを皮切りに、台湾、日本、ヨーロッパでユーザが増え、世界中で500万ダウンロードを超えた。その後、数百万人が使うサービスから数千人が使うサービスを経験したいとリクルートに転職も「(リクルートのような)大企業でもユーザー獲得に苦労するのかと思い、5カ月の在籍で起業しました」と、クラフターを創業。 現在まで累計300社以上が導入したマーケティングオートメーションツール「CraftChat」を展開。さらに、23年7月には、社内資料参照の法人向け生成AI「Crew」をリリースし、すでに金融機関や自治体をはじめ100以上の企業アカウント利用があるという。会社売却も「事業成長の可能性」を追求した意思決定であり、今後もさらなる事業成長を目指している。 また、イグジット経験のある起業家でもある小島は現在、エンジェル投資家、メンターとしてテクノロジー領域の女性起業家支援を、そして女性AIリーダー人材の育成・推進コミュニティ「Women AI Initiative」の運営パートナーも務める。 こうした事業成長、女性起業家・リーダー支援などはすべてクラフターのビジョンにもつながることだという。それは、「世界を自動化して人々に楽しさと自由を」だ。
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