新卒採用の適性検査 入社後の人材定着にも使わなければもったいない
「就職活動のとき、適性検査を受けた」という人は多いのではないでしょうか。企業の採用プロセスにおける「適性検査・筆記試験」の実施率は87.5%(リクルート 就職みらい研究所の『就職白書2024』調べ)となっています。今なお新卒採用の選考時に、受験者の基礎学力や性格を判定する適性検査を実施する企業が少なくありません。 適性検査を実施するのは、面接だけでは見抜けない資質を見たいからです。面接はどうしても主観的な評価になりやすいため、客観的な評価指標として適性検査を利用しているのです。ただ実際には、一定の点数以下の人を不合格とするなど、候補者の絞り込みに使われることも多くなっています。 ●内定者に適性検査結果をフィードバック 私は、適性検査を選考フローの1つとして利用するだけではもったいないと思っています。なぜなら適性検査は採用だけでなく、その後の人材定着や活躍に活用できるからです。 例えば、内定者を集めて適性検査の結果をフィードバックしている企業もあります。客観的なデータに基づき話せるのがいいのです。「あなたはストレス耐性が低い」と言われたら少なからずショックを受けるかもしれませんが、適性検査の結果がそうなっていると言われれば納得性はあるでしょう。 それに対して人事から「ストレス耐性が低いとあるけれど、自分ではどう感じていますか?」「自分自身でもそういう認識がありますか?」「こんな捉え方をしてみては?」といった働きかけもできると思います。ほかにも「性格にこういう特徴があると出ています。こういう仕事内容にその特徴が生かせるのでは」といったように、実際の業務内容にひも付ければその業務に対する志望度もより上がるでしょう。 学生自身のメリットも大きいと思います。自分のことは自分でなかなか分かりにくいし、入社すると目の前の仕事に追われ、自己理解を深める機会はそうそうつくれません。適性検査の結果から自身の強みを把握できれば、社会人になってからの成長も早いのではないでしょうか。 また、配属先の決定や日常のマネジメントに適性検査を活用することもできます。