中国、5%前後の成長目標と財政赤字拡大を計画-ロイター
(ブルームバーグ): 中国は来年の経済成長率目標を年5%前後に設定し、財政赤字目標については、対国内総生産(GDP)比4%に引き上げる計画だ。ロイター通信が匿名の関係者2人の話を基に報じた。
習近平国家主席をはじめとする共産党幹部は、来年の政策優先事項を定める「中央経済工作会議」を数日前に終えたばかり。
前例に従えば、具体的な数値目標は来年3月の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)で公表される見通し。
5%の成長目標は、今年の目標と一致する。政府は9月以降、金利引き下げや銀行への追加資金供給など、数々の景気刺激策を打ち出しており、今年の目標は達成される見通しだ。
成長と財政赤字の両目標は、おおむねエコノミストの予想に沿ったものとなる。
市場はこの報道に反応せずし、人民元はオンショア、オフショアともに1ドル=7.29元前後でほぼ変わらず。10年物国債利回りは過去最低に近い水準で推移し、本土株のCSI300指数は小幅な上昇をほぼ維持している。
国務院新聞弁公室にロイターの報道に関するコメントをファクスで要請したが即座には回答がなかった。
当局は先週、経済工作会議において「安定した経済成長を維持する」ことを表明し、国内消費と投資の拡大を優先する方針を示した。
それに先立ち共産党中央政治局会議が、金融政策スタンスを「適度に緩和的」へと約14年ぶりに変更していた。「より積極的な」財政政策も約束し、予算拡大への期待が高まった。
中国はトランプ次期米大統領が来年1月に就任した後の米国との貿易戦争に備えている。
中国製品に対する米国の関税引き上げは、輸出が中国の成長をけん引する力を弱めることになる。輸出は今年これまでの生産拡大のほぼ4分の1を占めている。
財政赤字拡大は、政府が借り入れによって公共支出を増やすことを意味し、企業や家計が支出や投資を削減する中で国内需要の押し上げにつながる公算だ。
4%の財政赤字は、1994年の大規模な税制改革以降で最大で、赤字を3%以下に抑えるという中国の伝統を破ることになる。