キャリアを決めるのは自分か?会社か? いまこそ必要「キャリア自律」...5年後、10年後なりたい自分を想像して(2)/第一生命経済研究所・福澤涼子さん
しがらみを捨て、本当になりたい「未来自己」を意識しよう
――なるほど。しかし、手挙げの人事制度もない、社内にキャリアカウンセラーもいない、特にキャリア支援など考えてくれない企業で働く人のほうが多いのが現実です。そういう人は、自分のキャリア自律を具体的にどう進めたらよいでしょうか。 福澤涼子さん 厚生労働省のキャリア形成・リスキリング支援事業(キャリア形成・リスキリング推進事業【厚生労働省委託事業】)などはキャリアコンサルタントとの相談を無料で使えるので、ぜひ活用してほしいと思います。とても親身に相談に乗ってくれます。ハードルが高いと不安になる人のために、アバターを使ってオンラインで受けることもできますよ。 そのほか、労働市場の先行きが不透明な中、「未来自己」(みらいじこ)という概念が注目されています。この未来の自己像には、仕事をしていくうえでの自分の本当の希望や豊富を込めることが大切です。子育てに忙しいママであっても、本当は将来どんな職業に就きたいのか、そのためにどんなキャリアを積みたいのか、いったん、目の前の子どもや子育ての現実を切り離して想像するのです。 こういう未来像がしっかりしていると、キャリアプランを立てようとか、スキル向上しようとか、目の前の業務を頑張ろうとか、もっと人脈を作ろうといった能動的なキャリア行動のモチベーションになりやすいことが専門家の研究でわかっています。 ――うーむ、狙いはわかりますが、実際に想像するのは難しい気がしますが。 福澤涼子さん たしかに、ではどうすれば「未来自己」が持てるのか?とか、どんなタイプの人が持てるのか? また、その未来が実現しなかったときに、個人への精神的ダメージはないのか?などはまだわかっていないところもあります。 ただ、私がワーキングマザーのキャリアアドバイザーを務めていた時に相談に乗ったママさんの中には、何をしたいのか、しっかりとした未来像を持っている方が何人かいました。そういう人は、夢に向かってキャリアを積むパワーがスゴイです。 「未来自己」を意識するためには、過去や現在のしがらみにとらわれず、まずは自分の要望を言語化して、そのうえで理想の未来を描いてみることがよいと思います。