夢を他人とシェアすることってできるの?
他人の夢にアクセスするのは、理論的には不可能じゃない? 夢の話はつまらない、しばしばそんな風に言われるけれど、その原因がテクノロジーにあるとしたら? 感覚を共有する手段として、言葉というメディアは完璧なモノではありません。意図的にしろ、そうでないにしろ、言葉の説明だけでは感覚を100%伝えられないこともあるでしょう。 もしも自分が経験したままに、自分の夢を他人に見せられることができたなら、夢の話はつまらないなんて言われることは、なくなるかもしれません。 夢について扱った作品は昔からSFの定番でしたが、いまやそうしたSFの領域に現実が近づきつつあります。 他者の夢を体験することも、現実になりうるのではないでしょうか。これについて、複数の専門家に意見を聞いてみました。
神経活動の解読が重要?
眼科学、神経学、生理学および薬理学の教授であり、知覚、眼球運動、認知神経科学にまたがる研究をしているスサナ・マルティネス=コンデ氏は以下のように語ります。 他人の夢の内容にアクセスし、視覚及び感情的なデータを抽出することは、理論的には不可能ではありません。我々の夢は、脳の神経活動であり、普段の生活で生じる感情的、知覚的な経験と特別な違いがあるわけではないのです。夢を見ている間だけ、活性化する神経回路や脳の領域なども存在しません。 ここでの大きな問題は、技術というより、まだ神経の情報を真に解明できていないという点にあります。 技術がどれだけ早く進歩したとしても、そもそもの神経生理学を理解しなくてはなりません。我々はまだ、経験を神経活動として解読するには至ってないのです。 また、理論はあっても、それは確証を得たモノではありません。例えば、前頭前野が意識的な経験に重要なのかという点についても、まだまだ議論の余地があります。神経活動の解読にはまだまだ時間がかかりそうです。 しかし、もしいつか人類が、神経活動などの生命の機能を理解し、相応のテクノロジーを手にする日が訪れたならば、意識をコンピューターにダウンロードして、永遠の命を得ることや、夢を共有したりすることも可能になるでしょう。