夢を他人とシェアすることってできるの?
夢は外的な要素も影響する
ヨーク大学の哲学教授、夢などの分野を研究しているT・W・C・ストーンハム氏とヨーク大学の哲学研究員、R・A・デイビス氏は、次のように考えています。 夢を共有する手段について、少なくとも二つの方法があります。一つは同じ夢を見るということ、そしてもう一つは高度な技術を用いて他人の夢を見るということです。 夢の共有の例は、現代のアフリカの文化に見ることができます。他人のために夢を見るといった風習や、夢を通じて、一方からのメッセージを第三者に伝えるというような風習が存在するのです。また、メソポタミアやエジプト、ギリシャなど、古代文明でも、患者と司祭の両方が同じ夜に同じ夢を共有するという例が見られます。 現代の西洋に広く見られる一般的な見解では、これらの方法で夢を共有することは、偶然、暗示、あるいは夢のスキャンなどでもない限り不可能だと思われています。夢は基本的に睡眠中のプライベートな経験であり、起きている間のコミュニケーションでのみ共有できると考えられているのです。 しかし、私たちの研究では、こうした西洋での一般的な考え方は間違っていることが示唆されています。この考え方では、予知夢や、現実の感覚や環境が夢に与える影響、食べ物と悪夢の関係などの現象が簡単には説明できません。 我々は、夢は文化や社会が影響し、体調や知覚から構築されると考えています。この視点では、夢は多くの外部要因が影響するモノという認識になります。 つまり、夢の内容は全てにおいて、プライベートな経験に由来するというわけでもないのです。もし私たちの考えが正しければ、夢のスキャンで明らかになることは多くはないでしょう。 夢は人が置かれている社会や文化の影響を強く受けるため、眠っている人の脳の活動を調べて得られる生物学的な情報は、夢の内容とはあまり一致しないと予測します。 しかし、違った意味での夢の共有については希望があります。原理的には、睡眠中の人々に同じ生理的、環境的変化を誘発することで、複数の人々に「類似した」夢を見せることができるかもしれません。 ただし、年齢、健康状態、食事、社会的要因、文化的な考えの違いなどが夢の内容に違いをもたらす可能性もあるため、被験者は慎重に選ぶ必要があります。
カタヤママコト