米大統領選 指名争いのヤマ場「スーパーチューズデー」3つのポイント
(3)民主党内の「熱」と投票率はどこまで上がる?
そして、3つ目のポイントは民主党側の大統領選への「熱さ」だろう。もし、民主党の盛り上がりがスーパーチューズデーの戦いの中で確認されれば、11月3日の大統領本選挙には大きな追い風となる。
2月3日の集計問題での大失態が報じられたアイオワ党員集会で浮き彫りになったのは、この民主党側の集計問題以上に有権者の熱さだった。そもそも今回の予備選段階の投票率はいつもの大統領選より3割程度低い。その中でも党員集会は面倒な分、予備選より極めて投票率(参加率)は低いが、今回は2008年に比べると、さらに参加者数が限定されていたといわれている。学術的な投票率調査では定評があるUnited States Election Projectの推計では、今回のアイオワ党員集会の投票率はわずか9.1%で、熱狂的な支持でオバマのその後の選挙戦を形作った2008年の16.1%に比べるとかなり低い。 サンダースもバイデンも「私ならトランプに勝てる」と選挙戦では豪語しているが、このままの民主党側の「熱さ」のレベルでは、本選挙ではトランプ大統領に太刀打ちできないかもしれない。 その後のサンダースの勢いと、この数日のバイデン支援の伸びがこの投票率をどう変えていくことができるのか。この点にも注目したい。 ------------------------------------------ ■前嶋和弘(まえしま・かずひろ) 上智大学総合グローバル学部教授。専門はアメリカ現代政治。上智大学外国語学部英語学科卒業後、ジョージタウン大学大学院政治修士課程修了(MA)、メリーランド大学大学院政治学博士課程修了(Ph.D.)。主要著作は『アメリカ政治とメディア:政治のインフラから政治の主役になるマスメディア』(単著,北樹出版,2011年)、『オバマ後のアメリカ政治:2012年大統領選挙と分断された政治の行方』(共編著,東信堂,2014年)、『ネット選挙が変える政治と社会:日米韓における新たな「公共圏」の姿』(共編著,慶応義塾大学出版会,2013年)