名物ホールに阻まれた初優勝 細野勇作、坂本雄介の悔やまれるボギー
<バンテリン東海クラシック 最終日◇29日◇三好カントリー倶楽部 西コース(愛知県)◇7300ヤード・パー71> まるでタイガー? 幡地隆寛の“サンデーレッド”【写真】 初優勝を目指して最終組でプレーした細野勇作、坂本雄介は終盤まで優勝争いに絡んだものの、16番パー3をボギーとして脱落。ともに2打及ばず、トータル15アンダーの3位タイに終わった。グリーン左サイドの崖に落とせば、ボギーどころか、ダブルボギーもある名物ホール。これまでもさまざまなドラマを生んできたが、今年もここで明暗が分かれた。 16番は平均スコアは『3.2829』で今大会の最難関ホール。バーディ39個に対して、ボギーは倍の78個。さらにダブルボギー16個、トリプルボギー4個、それ以上も4回とここで大きく崩す選手も続出した。左サイドの崖を避け、バンカーのある右に外してもパーセーブは容易ではない。細野、坂本はともに右に外してのボギーだった。 1.5メートルのパーパットがカップに嫌われた、坂本は「打ちたいところに思い通りに打てたパットだったんですけど、切れなかった。最終組で多少グリーンも荒れてくるし、キャディーさんとも『同じところにもう打ったら次は入る』と話していました」。首位の幡地隆寛との差はここで2打に広がり、残り2ホールで連続バーディーを奪えば追いつくとはいえ、優勝はかなり厳しくなった。 ただし、坂本が悔やんだのはこの16番ではなかった。「敗因は12番ですね。序盤はいい流れだったんですけど、7番ぐらいからショットのミスで苦しいゴルフになって、11番までは耐えてきたけど、12番でティーショットのミスからボギーにしてしまって…。優勝争いをしていてパー5のボギーは一番やっちゃいけないことなんで、練習不足というひと言だと思いますね」。13番から3連続バーディで挽回したが、12番のミスが最後で重くのしかかった。 日本人レフティ―として33年ぶりのツアー優勝がかかっていた細野もパーパットがカップに嫌われた。「16番では3日間いいショットが打てていたので、特に意識はしていなかったんですけど、短いクラブでしっかり打ったのが引っ掛かりました。昨日までは右のバンカーでもいいと思っていたんですけど、それだと追いつかないので、今日は真っ直ぐ狙ったつもりなんですけどね。パーパットはしっかり打てたので悔いはありません」。細野もここで2打を追う立場となった。 敗因に挙げたのは特定のホールではなく「ティーショット全体ですね」。最終日にフェアウェイをとらえたのはわずかに3回。「ティーショット以外は良かったんですけど、ラフからなのでなかなかチャンスにつけられませんでした」と振り返った。 細野は今季2度目の3位フィニッシュ。坂本は2週続けて最終組最終組でプレーし、4位、3位と上位フィニッシュを決めた。「ティーショットだけなんで、そこを修正できれば、数多く優勝争いができると思います」(細野)、「次は優勝したい、それだけですね」(坂本)。今回は名物ホールに阻まれたが、2人が初優勝に近い選手であることは間違いない。(文・田中宏治)