【脂が酸化するまで”たった8分”が勝負】とことん鮮度にこだわる「イワシ缶詰」の製造工場に潜入
■生原料を使った缶詰を見分ける方法
最後に、ちょいと役立つ缶詰小ネタを披露しよう。 冷凍原料の魚を使った缶詰でも十分おいしいが、生原料の方がさらにおいしい。では、生原料を使った缶詰を見分けるにはどうするか? 賞味期限を見るのだ。 日本の缶詰のほとんどは賞味期間が3年ある。ということは、例えば賞味期限が「2026.11.10」と印刷されていれば、3年をマイナスして、2023年の11月10日に製造されたことがわかる。この11月という月がヒントになる。 もしそれがサバ缶なら、脂がもっとも乗る旬の時期がだいたい11月~1月である(年によって多少変動あり)。この時期の缶詰工場は、毎朝のように市場でサバを買い付けているので、ほぼ生原料で製造しているはずだ。 同様に、イワシは6~8月、もしくは1月頃が旬になる、なので製造月がその時期であれば高確率で生原料を、それ以外の時期であれば冷凍原料を使っているだろう。 黒川 勇人(くろかわ はやと) 缶詰博士。1966年福島県福島市生まれ。東洋大学文学部卒。卒業後は証券会社、出版社などを経験。2004年、幼い頃から好きだった缶詰の魅力を〈缶詰ブログ〉で発信開始。以来、缶詰界の第一人者として日本はもちろん世界53カ国の缶詰をリサーチ。 缶詰にまつわる文化や経済、人間模様も発信している。公益社団法人・日本缶詰びん詰レトルト食品協会公認。「SDGs災害食大賞」「LOCAL FISH CANグランプリ」「未来の食卓アワード」審査員。 近著、初のエッセイ本『缶詰だよ人生は』(本の泉社)が絶賛発売中! 他『缶詰博士が選ぶ「レジェンド缶詰」究極の逸品36』(講談社)など。マイナビニュースに缶詰エッセイを連載中。
黒川 勇人