近所迷惑・噂になりたくないから「救急車のサイレン鳴らさないで」増えた!? 救命士が訴える「止められない」理由とは
「救急車をタクシー代わりに利用」「車内で撮影」「#7119で軽症だから『自力で病院へ行って』と言われたのに要請する」…など救急車を利用する人のモラルを問う行為がたびたび話題になります。そんななかで、現役救命士からのお願いが…。 【写真】ためらわずに救急車を呼んでほしい症状とは… 「『サイレンは鳴らさないで来て欲しいです』っていう人結構いますけどかなりぶっ飛んだすごいこと言ってる自覚あるのでしょうか?日本は行政における救急医療システムについてもっと子供の時から懇切丁寧に教育していかなければならないと強く思います」 救急車内での任務を行うこともあるcube/日本一の救命士を目指す者さん(@cube_QQEMT 以下cubeさん)の提言に対して同意する意見もありましたが、「近所の人の安眠妨害になるから」「呼ぶ人にはその後の生活がある。噂になるようなことしてほしくない」と、鳴らしてほしくない派からの意見も続出。 救急車を呼んだのにも関わらず「“法律上止めて緊急走行はできない”と答えると、“じゃあ来なくて良い”と言われた」と、本当に緊急な状況だったのか疑いたくなる経験談もありました。 救急に関する問題や現実を世の中に周知させ解決したいという思いで日頃からSNSで発信しているcubeさんに、「サイレン鳴らさないで来て」についての思いを聞きました。
なぜサイレンを鳴らすのか
さまざまなコメントが寄せられましたが、「“サイレンは鳴らさないで来て欲しい”のどこがぶっ飛んだことなのかよくわかんないという発言が1番印象に残りました。救急車に関しての知識がなく、モラルが欠如していることを吐露しているような言葉ではないかと。だからこそ、『サイレンを鳴らさないで来て欲しい』と言えるのではないでしょうか」。 救急車のサイレンは安全かつ迅速な走行のために鳴らすこと、赤色の警光灯をつけることが道路交通法施行令第13条、第14条で定められています。止めてしまうと、緊急自動車の特例等の適用がなくなるのです。 しかし、そのことを知らず、「家の近くに来たら、サイレン音を鳴らさないで欲しいと訴える人が多い」とcubeさん。5年程前に消防を退職し、現在は病院で勤務していますが、「10数年間勤務した消防経験の中では、“サイレン鳴らさないで”というお願いが徐々に増えている印象で、その数は少なくはないと思います」。 救急車の出場途上では、情報聴取のため隊員が通報者に連絡しながら向かいます。「全力で急いで助けに行こうとしている我々にとって、その言葉は愕然とさせられるもの。懇切丁寧穏やかに、救急車はサイレンを鳴らしての緊急走行でしか向かえないこと、現場近くになったら出来るだけ配慮することを伝えています」。 近所の目や世間体云々を理解し、実際には現場近くや夜間住宅街で、現場の特定と周囲の安全を確保した場合は消したりすることもありますが「サイレンを鳴らす、鳴らさないは状況で判断すること。法律を知らなかったと言う方もいますが、法律以前にモラルとして広まってほしいと思います」と言います。 今回の反響について、日本の救急医療システムに対する認識不足の表れではないかと感じる一方で、救急車に関する問題への意識が高まっていることも感じられたともcubeさんは言います。