近所迷惑・噂になりたくないから「救急車のサイレン鳴らさないで」増えた!? 救命士が訴える「止められない」理由とは
救急車利用する人のモラルが年々低下
昨今、救急車のタクシー代わりの利用や救急車内で撮影、軽症での救急車要請などが社会問題として取り上げられていますが、cubeさんによると「これらは全てあるあるです。年々救急車に対するモラル低下がひどくなっています」。 超高齢者社会が進むにつれて、ちょっとした症状や転倒などによる怪我の受診が増え、それに伴い安易な救急要請も増えていると話します。 日本の人口は減少傾向にあるにも関わらず、総務省の「令和5年版 救急・救助の現況(※1)」によると救急自動車による救急出動件数は約722 万(前年比103万増)、そのうち「軽症(外来診療)」と診断されたのが約 294 万(対前年比 19.5%増)。ちなみに、平成14年の救急出動件数が約456万と考えるといかに増えているのかがわかります。 cubeさんは、自分達が不適正利用しているという認識がないことがいちばんの問題だと指摘。このままでは事態はどんどん悪化の一途を辿るだけと見立てています。 「自分が救急車を利用しなければ、亡くならずに済んだ人がいるかもしれない。つまり、言葉はキツくなるかもしれませんが、安易に救急車を利用したせいで間接的に誰かを殺してしまっているかもしれないということを国民の皆さんに認識して欲しい。逆の立場だったら許せないですよね。間接的な殺人者とならないように、しっかりと不適正利用について考えて頂きたい」と語気を強めます。 実際、件数が影響しているのか現場到着の所要時間は全国平均で10.3分(前年は約9.4分、平成14年は約6.3分)、同じく病院収容時間も増えています(※1より)。一刻を争う状況で、時間がかかってしまえば命を左右される可能性は大いにあるのです。安易な救急要請で救急車が出払ってしまうことは、119番に繋がにりくい、なかなか救急車が到着しないなどの悪循環を招きます。それは、結局、自分達で自分達の首を絞めていること。 「安心安全な日本であるために、国民全体が協力して不適正利用は強く非難されるべきという風潮を作っていく必要があるでしょう」。 そのために、社会全体がこれを大きな問題として捉え、「幼稚園や学校などで子供の時からしっかりと教育するべきだと訴えます。大人はなかなか学ぶ機会がないため、今後は子供から親へ伝えてもらったり、免許証の更新時、入職時の講習、職員研修などで周知や教育ができる環境になればと思います」。 6月1日からは三重県松阪市内の3基幹病院において、救急搬送された患者のうち、入院に至らない軽症患者から選定療養費「1人7,700円(保険適用外)」が徴収されることになりました。もしも、今後も安易な救急車利用が減らず、この取り組みが有用とされれば、全国にも広がる可能性はあるでしょう。軽傷かどうか、タクシー代わりだと思っていないか改めて振り返った上で、心配な症状の際には、命のためにも躊躇せずに救急要請をおこなってください。 (まいどなニュース/Lmaga.jpニュース特約・宮前 晶子)
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