100年先の未来に向けて、世界に誇れる日本酒――「米ぬか」をアップサイクルして新たな日本酒へ
日本酒造りで生まれる「米ぬか」を、リサイクルではなく、さらに美味しく、価値を高めるアップサイクルに成功した日本酒があります。
それぞれの朝は、それぞれの物語を連れてやってきます。 「SAKE HUNDRED」という日本酒のブランドをご存知でしょうか。720ミリリットルの四合瓶の日本酒は、高くても数千円程度ですが、「SAKE HUNDRED」は、数万円から数十万円といった世界初の“ラグジュアリー日本酒”を開拓し、「世界中の人々の『心を満たし、人生を彩る』こと」をブランドの目標に掲げています。 このブランドを手掛けるのは、株式会社Clear。2013年に設立した、日本酒業界では、まだ新しい会社です。日本酒造りの企画・開発・販売・管理を行っていますが、日本酒の「醸造」は、酒蔵に委託しています。複数の酒蔵と共同開発をすることで、それぞれの酒蔵の強みを引き出し、魅力的なお酒を造ることが出来、そして得た利益が日本酒産業全体の成長にもつながるという理由もあって「委託醸造」の形態をとっています。 株式会社Clearの代表取締役CEO、生駒龍史さんは38歳。日本酒との出会いは、決して良くなかったと言います。 「大学時代、軽音楽サークルに入っていて、ライブの打ち上げで、先輩から飲まされるお酒がいつも日本酒だったんです。僕にとって日本酒は、辛い、きつい、アルコール度数が高い……。そんな得体の知れないイメージがあって正直、怖かったんですよ」 日本大学法学部を卒業後、IT企業に就職した生駒さんですが、上司のパワハラに遭い、入社2ヶ月足らずで会社を辞めます。その後、転職するものの、「起業したい」という思いが強くなり、25歳で独立……。 「当時、1ドルが75円の時代で、海外からアウトドアのアパレルを仕入れて、通販サイトで販売する事業を始めました。他に、売れるものを探していたとき老舗の酒屋を継いだ大学時代の友人が、日本酒をネットで売れないか、と話を持ちかけてきたんです。日本酒にいいイメージがなかったので断ると、『この酒を飲んでから決めてくれ』と勧められたのが、熊本の『香露』という大吟醸でした。一口飲んで日本酒のイメージがガラッと変わりましたね」